退院調整看護師が教える脳梗塞後の退院から自宅に戻るまで流れ

さやみん

私は現在、退院調整看護師として働いており、入院してきた患者さんが今まで通りの生活ができなくなってしまった場合に、必要な病院やサービスを紹介して安心して生活ができるようなサポートをさせて頂いております。

そんな私達がサポートをする対象として多いのが、脳梗塞脳出血などの脳卒中を患った患者さんたちです。

これらの脳卒中を患った患者様は、基本的に入院期間が2週間となり、その後は自宅への復帰に向けてリハビリや介護保険のサービスなどを利用して退院や転院をしていくというのが主な流れになっています。

しかし突然脳梗塞になり、今まで通りに動けなくなった患者様やご家族様は、

「このまま家に帰って大丈夫なのか」

という莫大な不安を抱えて入院期間を過ごしています。

ですので、今回はそんな脳梗塞後の入院や退院に対して不安を抱えている患者様やそのご家族に向けて

  • 入院してから退院までの大まかの流れ
  • 治療が終わったらどこに退院するのか
  • 自宅に帰れないと判断された場合にはどう対処していくのか

についてお伝えしていきたいと思います。

脳梗塞を発症し、今後の事が不安に感じている方の少しでも参考になればと思います。

脳梗塞の入院期間が2週間の理由

まずなぜ脳梗塞などの入院期間が2週間と言われているのか知っていますか?

脳梗塞などと診断された場合には、医師から治療についての説明があると思いますが、その治療期間が基本的に2週間とされているからです。

オグザレルやエダラボンなどといった脳梗塞の治療薬の点滴を2週間行い、発症直後の脳の状態と比較しながら改善されているかどうかを、医師が経過を見ていきます。

そして2週間が経つと、それ以降同様の治療をしても科学的な根拠がないため、身体機能の改善を重視し、リハビリや介護サービスなどを利用しながら退院という流れになっていきます。

脳梗塞後の入院~退院~復帰までの主な流れ

次に入院してからの基本的な治療、また私達退院支援部門の動きも含めた、主な流れを説明していきます。

  1. 入院から約2週間 病院で点滴による急性期の治療 今までの生活や家族についての情報を集め、一緒にどうしていきたいかを考えていく
  2. 2週間~約2・3か月 回復期リハビリテーション病棟でリハビリ
    具体的に自宅等で生活をするための介護サービスを整える・介護保険の申請も
  3. 自宅等へ退院・社会復帰
  4. 介護サービスを利用しながら生活をしていく

 

このように私たち退院新部門では、脳梗塞と診断された場合には退院後には介護サービスの利用が必須となるため、入院後にはご本人やご家族から情報を集め、その方やご家族にあった支援ができるように早期からサポートをさせて頂いております。

そして先程説明した2週間を目安に、治療が終わったら、早期にリハビリなどが受けられる病院や施設への転院ができるよう手続きを進めていくことになります。

主に麻痺などが残っており、今まで通り自宅で生活ができないような方の場合は回復期リハビリテーション病棟と呼ばれる病院へ転院することがほとんどです。

 

長い名前でなかなか聞き馴染みのない方も多いと思いますが、脳卒中を患った方の多くははこのリハビリテーション病棟への転院になっています。

回復期リハビリテーション病棟って何?

一般的に脳梗塞で緊急入院するような病院では急性期の治療が行われますが、そこでは自宅に帰る状態になるまでの長期間を入院することはできません。

回復期リハビリテーション病棟では、自宅に帰るためのリハビリをメインに行い、ご自宅で生活ができるようにサポートをしていく内容となっています。

この回復期リハビリテーション病棟からは基本的に自宅や、元の施設への転院となるため、ここで具体的な在宅での介護サービスの調整も行われています。

 

ちなみに回復期リハビリテーション病棟では「在宅復帰率」というものを重要視しています。(診療報酬に響いてきますので・・・)

そのため回復期リハビリテーション病院からは基本的に自宅や施設などといった、生活をする場所に退院することが前提です。回復期リハビリテーション病院からまた新たな病院へ転院という流れはNGだと理解しておいてください。

 

脳梗塞後に自宅等に戻った後に必要な介護サービス

脳梗塞などになってしまった方は、「入院前は元気に動けていて介護などが必要がなかった」という方がほとんどだと思います。

そのくらい突然に発症してしまうのが、脳梗塞の怖いところなんです。

 

そのような方が、今まで通り何もサポートがない状態で自宅に帰ってしまうと、

  • 手すりが思うように動けない
  • 転んでしまう
  • 家事などが行えず、生活自体がままならない

といったリスクが生じてきます。

そのため介護保険を利用し、

  • デイサービス
  • ヘルパー
  • 入浴サービス
  • 住宅改修(手すりの設置など)
  • 福祉用具貸与(歩行器や車いす、ベッドのレンタルなど・・・)

など、様々な介護サービスを利用して、今まで通り自宅でしながら、住みやすくするためのサポートを整えていく必要があるのです。

回復期リハビリ病棟では、ソーシャルワーカーやリハビリスタッフまた看護師などの単位調整退院調整部門がメインで関わり、このような在宅でのサービスを整えていきます。

そして自宅等にもどったら、このようなサービスを活用しながら生活をしていくことになるのです。

在宅での相談窓口は主にケアマネージャーということになります。

ケアマネについての記事はこちら

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このまま自宅に帰れるのか不安に感じたら

私たちが最も困るケースが、なかなかご本人様とご家族の意向が異なり、最終的なゴールは自宅なのか、それ以外の場所(施設など)を探すのかと方向性が定まらないことです。

ご本人の意向を汲んで、自宅に帰るためにサービスの調整などを進めていたにも関わらず、退院目前になって御家族から突然、

「やっぱり自宅は無理だ、施設を探してほしい」

と言われることも少なくありません。

もちろんご家族も悩んで、そのような決断をしている気持ちもよくわかります。

しかし退院調整としても長い時間をかけて、ケアマネージャーの選定やサービス業者との連絡調整、また多くのスタッフとの情報共有などを行いながら、その患者様が退院後、安心して暮らせる為に環境を整えているため、方向性が変わるとまた大きな時間がかかってしまうのがデメリットといえます。

このようなことをなくすためにも、ご家族様とご本人様が早期から話し合い、どこでどう過ごしていきたいかを一緒に決めていくことと、その悩みや不安を私達関係スタッフに繋げていただくということが重要だと思っております。

そして少しでもご家族が「自宅に帰るのが不安」という気持ちがあるのであれば、早期から私たちにご相談頂ければと思っています。

その情報が少しでも私たちに入れば、自宅に帰る調整とは別に並行しながら「施設を探す」ということも可能なのです。

ご本人様とご家族、そして私たち退院調整部門が同じ考えで、同じ目標を持って、「退院して安心して生活していくために」、お互いが連携して相談し合いながら一緒に進めていくということが重要です。

ご本人様ご家族様だけで悩むのではなく、その気持ちをぜひ私たちまでお伝えいただければと思います。

まとめ

脳梗塞の入院期間が2週間だと理由理由と、緊急入院から退院になるまでの流れについて説明させていただきました。

大まかな流れはご理解いただけたでしょうか?

脳梗塞などの病気は本当に突然やってきます。

そして今まで普通に当たり前だった「自分でできること」を奪っていってしまうのが脳梗塞の怖いところだと実感しています。

患者様やご家族は突然の病気の発症で今まで出来ていたことができなくなっていた状態に焦り戸惑い、みなさんが大きなショックを抱えています。

しかし、2週間という入院期間のうちに退院先や今後の生活を見据えた見せて動き始めなければいけないのが現状です。

患者様やご家族にとって、何も分からない手探りの状態で今後のことを決めていくのは大きな不安があるかと思いますが、私たちはそのような不安に寄り添いながら希望を聞きなどのように生活していきたいかという希望を聞きながら、慎重に退院に向けてサポートをしていきます。

ですのでご本人様の思いやご家族の不安など、気になることは気軽に相談してみて下さい。

そうやってお互いが連絡を取り合うことで、私達も本人・ご家族の気持ちを聞いて最適な退院先やリハビリ施設などを紹介させていただくことができるからです。

少しでも患者様やご家族の不安が軽くなれば幸いです、ぜひ一緒に考えていきましょう。

この記事を書いている人
管理人 さやみん
管理人 さやみん
現訪問看護師 ケアマネジャー 元退院調整看護師
総合病院勤務の時に1000人以上の患者様、ご家族様からの介護・病気・終活などの相談に対応。 「その人らしい生き方」「介護で苦しまない」をモットーにアドバイスしています。 治療も介護も正解はない! 「これでよかった」と思える人を増やすべくネット上で活動しています。
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