個室への入院は大部屋とどう違う?費用や医療保険の適応は?使用するメリットデメリットとは
入院の際に大部屋か個室なのか希望を聞かれたり、スタッフから説明があったりすると思います。でも実際に病院の個室なんて見たこともなければ、どんなところなのかよくわからない人が多いと思います。
今回は個室とはどんな部屋なのか、利用するメリット・デメリットと個室料金のことについてお伝えしたいと思います。
個室ってどんなところ?
個室とは基本的に1人部屋で(病院によって2人部屋でも個室と定めているところもあります。)、冷蔵庫やソファーなど大部屋とは異なる設備がある部屋のことを言います。
一般的な個室の特徴として
- 冷蔵庫
- ソファー
- TV見放題(大部屋だとカード購入式の場合が多い)
- 広い
- 風呂・トイレ付
などがあります。
個室を利用するメリット
個室を利用することで、大部屋では出来ない事が出来たり、持ち込みができたりというメリットがあります。
一般的なメリットとしては
- 生ものやアイスを冷蔵庫で保管して置ける
- イヤホンを使わずにTVを視聴できる(他の人に音などで気を使う必要がない)
- 消灯を過ぎてもある程度は起きていても許される
- 面会制限が緩くなる場合がある
- トイレやシャワーを自由に使うことが出来る
このように、好きな時に好きなことを出来るのが最大のメリットといえます。
特に大部屋だと他の人の会話や生活の音などが気になってしまいますが、個室ではそのようなストレスもなく気兼ねなく入院生活を送ることが可能です。
私は看護師として患者さんを見てきましたが、個室に入院している場合にも基本的な消灯時間などのルールは守ってもらいますが、大部屋の患者さんよりは規制は緩く、
「個室なら少しくらいTV見ていても大丈夫。」
と許してしまう場合がほとんどでした。
大部屋では他の患者さんの目もあるためその人だけを特別扱いするわけにはいかず、しっかり説明してルールを守ってもらう必要があるのでどうしても規制された生活になりがちです。
看護師にうるさいことを言われたくないような場合には個室を利用するというのもアリかもしれません。
さらに部屋の広さについて比較すると、大部屋の場合にはベッドの周りに椅子1個を置いてやっとというのが一般的なのに対して個室の場合はソファーやテーブル、さらに付き添いのベッドを置いても余裕があるほど広さがあるため、
- 長時間付き添いがいる場合
- 面会者が大人数の場合
などの場合には個室を利用した方がいいでしょう。
個室のデメリット
個室の最大のデメリットはなんといっても多額の料金になります。
病院の規定によって料金は異なりますが、1日当たり5000円~20,000円などといった料金設定のところが多いと思います。
他のデメリットを挙げるとすると
- 話し相手がいない
- 外に出ないと病棟の雰囲気が分からない
大部屋のように他の患者さんが近くにいる状態ではないため、他の患者さんと話す機会はほぼありません。
さらに有料個室は病棟内でもナースステーションから離れた場所に位置していることが多く、ドアを締め切っていると何が起こっていて、今何時なのか分からないような状況になりやすいのが個室のデメリットでもあります。
個室料金っていくらかかる⁉
先ほど平均的な料金として
1日あたり5,000円~20,000円
だと書きました。
料金にかなり幅がありますが、部屋の広さや設備の状況によっても金額は異なります。
急性疾患や手術入院などで短期入院の場合には1週間以内で退院することがほとんどのため、
仮に10,000円の部屋だとしたら
10,000円×7日=70,000円
の個室料金がかかる計算となります。
ですが、慢性の疾患や精神疾患、がん治療などで長期入院が必要な場合には
仮に1か月30日入院した場合には
10,000円×30日=300,000円
とかなり高額になってしまいます。
入院時にはどのくらいの入院期間が必要かをしっかり把握したうえで、部屋を選択する必要があります。
個室料金は保険が使える⁉
有料個室のデメリットとしてその高額な料金だと書きましたが、この個室料金は一般的な医療保険(3割負担や1割負担など)や高額療養費制度の対象になるのか気になりますよね。
その答えはNOです。
公費の保険や高額療養費の対象にはなりません。
ですので、有料個室を選択した場合には100%自腹で支払わなければいけないのです。
個室料金がかからない場合とは
ここでちょっと補足ですが、ここまで個室料金について書いてきましたが、個室料金を支払わなくてもいい場合というのがあります。
それは、病院側の都合で仕方なく個室しか入れなかった場合です。
- 他の病室に空きがなかった
- 患者の状態(徘徊などをしてしまう、状態が急変するおそれがあるなど・・・)で病院側で個室管理が必要と判断した場合
など病院側の都合で個室に入院してもらう必要があると判断した場合には、その旨を病院側から説明し、個室料金を支払わなくてもよくなるというケースもあります。
しかし病院側も実際には個室を利用してもらわなければいけない状態でも、患者本人や家族が納得して個室料金を支払ってもらうために必死に説得をしています。
そうして個室申請書などにサインをすると患者側としては料金に納得したということになりますので、本当に嫌だったら拒否をするようにしましょう。意外と個室料金でのトラブルは多いものです。退院の支払いになって
「こんなのきいてない!」
という患者さんが訴えるケースが多いので、よく個室料金について理解してトラブルに合わないようにしましょう。
入院費が払えないと感じたら・・・
有料個室を利用すると、退院時の支払いが数十万円や百万単位となるケースもあります。
そんな時に慌てないためにも今加入している保険の確認や、退院時までに間に合うローンを利用するようにしましょう。
まとめ
- 個室はメリットがたくさんあるが、料金は高い
- 料金を支払わなくてもよいケースもある
- 入院期間を見越して費用を準備しておこう