お金がなくて施設も自宅介護も無理!費用のことで悩んだらするべき3つのこととは
老人ホームなんて、とんでもなくお金がかかるんでしょ?
家でみてあげたいけど、これじゃ自分が倒れちゃう…
そんな風に悩んでいる方へ、ちょっと介護にまつわるお金の話をしてみたいと思います。
私は総合病院で退院調整看護師として、退院先に悩んでいる患者さんやご家族の相談を受け、自宅や施設で生活を送るための仕事をしています。
皆さんはご両親などが入院した際に、当たり前のように今までの生活に戻ることが出来ると思っていませんか?
高齢者が退院したら自宅に帰ると思ってはいけない!退院困難者であふれかえる現在の病院事情とは
高齢者の方は入院して、いざ退院となると今までの生活が出来なくなってしまうケースがとても多く、ご家族も退院先について悩んでしまいます。自宅に帰れないとなると選択肢としては「施設への入居」が挙げられますが、今まで元気だったご本人を見ていた家族にとって、いきなり施設や老人ホームの話を聞いてもお金もないし現状を受け入れられず、拒否を示すご家族も多くいらっしゃいます。
私たちが退院調整という仕事をしている中で、
「自宅にも帰れない・でも施設にも入れない」
と退院先を決められず、ずっと病院に居続けるような社会的入院をしている方ってとても多いんです。
なぜ病院にいることが出来ないのか?
ご家族としては入院し、医師や看護師などの医療スタッフに24時間体制で見守られていることは何よりも安心に繋がると思います。
しかし今の日本は地域包括ケアと言って、簡単にいうと病院は急性期の患者さんを担当する場所であり、状態が落ち着いたら自宅や施設などの地域へ戻り、療養をしていくと言う姿が理想とされています。そして政府はその政策をかなりの勢いで進めている現状があります。
つまりこれからの日本では、状態が落ち着いたままでずっと入院をし続けるということは不可能と言えるのです。
そうなったらご家族はどうすればいいのでしょうか?
今回はそんなご家族の悩みについて考えながら、行き場のない高齢者はどうすればいいのかを一緒に考えていきましょう。
入院をきっかけに自宅に戻れなくなるケースは非常に多い
何度も言いますが、入院をきっかけに今まで生活してきた自宅に戻れなくなるケースはとても多いです。
「今まで歩いて普通に生活出来ていたのに何で?」
必ずと言っていいほど、退院先を考えるご家族はこのように入院前との状態のギャップを受け入れることができません。
でもこれが「高齢者の入院の常識」ともいえるのです。
元気な家族が入院したら紙おむつが必要になることってあるの?!動けなくなってしまう高齢者の入院の怖さ
自宅へ帰れてなくなってしまう代表的なケースでは、
- 骨折して自分1人で歩けなくなってしまった
- 脳卒中になって麻痺や障害が残り、介護が必要になった
- 認知症が進み、食事や火の始末などが心配
- 糖尿病でインスリン注射が必要になってしまった
- 慢性閉塞性肺疾患やがんなどの高齢者に多い病気にかかり、状態が不安
- 胆管炎などでドレーンが入ったまま自宅に帰ることになった
など・・・
このような場合ですと、今まで自分で生活できていた在宅での過ごすことが難しく、また転倒や事故などのリスクも高くなるため介護サービスの導入や施設への入居を検討していく必要があります。
元の生活が出来ないと感じたら
今までの生活ができないかもしれないと感じたらまずは入院中に医療スタッフへ相談してみましょう。
入院中でない場合には、かかりつけの病院や自宅の地域にある地域包括支援センターなどの施設でも相談することができます。
とにかく周囲で相談できる場所を探し、早期に対応を検討していくことが重要と言えます。
自宅で使える介護サービスを利用する
自宅で生活ができない、だけど施設への入居なんてもっと無理!
そう家族が感じる場合には、まずは今までの自宅でサービスを使いながら生活ができるかどうかを考えてみましょう。
自宅で使えるサービスには介護保険のサービスや公共のサービスがあります。
- ヘルパー
- デイサービス
- 訪問リハビリ
- 通所リハビリ(デイケア)
- 配食サービス
- 福祉用具レンタル
- 訪問入浴
- 見守りサービス
など・・・
ご家族の方はこのようなサービスを知らないことも多く、高齢者のみでの生活は絶対無理と最初から決めつけてしまう方もいますが、在宅でのサービスを利用しながら一人で生活出来ている方は意外といらっしゃいます。
家なんて絶対無理!なんて決めつけず、まずはサービスを使いながら自宅で生活することはできないか?という視点で考えてみて下さい。
施設入居を検討する
どうやっても自宅で生活するのは無理だと感じる場合は、施設への入居を考えるしかありません。
しかし家族にとって最大の問題点は金銭面ですよね。
基本的には月に10万以上はかかるような施設がほとんどです。
自立されて生活が出来る方で、見守り程度のサービスがあれば十分ということであれば
- サービス付き高齢者向け住宅
- グループホーム(認知症の方のみ)
- ケアハウス
などは比較的安く入居できる施設といえます。
また介護度が重かったり、医療管理が必要ということであれば
- 特養:介護老人福祉施設(要介護3以上の介護度が重い方向け)
- 老健:介護老人保健施設(医療処置が多い方で、自宅へ帰ることを前提としている方)
- 療養型病床(状態が安定した方で医療管理が必要な方※今後廃止される方針)
- 地域包括ケア病床(60日以内に自宅に帰ることを前提としている)
などが退院先として考えられます。
たまに入居費用をご家族が負担するケースもありますが、ご家族自自身の老後や家庭のことを考えるとあまりご家族が負担をしすぎるのもおすすめできません。
施設に入居するお金もないし、家で介護も出来ない時の対処法とは
では自宅も施設もどこにも行先がない場合はいったいどうすればいいのでしょうか?
そんな場合は病気や世帯構成、収入状況を見直してみることをおすすめします。
1・病気や認知症を見逃していないか
よくあるのが
「認知症っぽいってかかりつけの先生に言われたことはあるんですけど、ちゃんと診断されたことはないんですよね」
という家族からの証言。
この「認知症の診断」が退院先を広げるきっかけにもなります。
認知症の有無によって介護度の判定にも影響を及ぼしますし、グループホームなどの施設は認知症の診断がないと入居することができません。
もし心当たりがあるならば、かかりつけや入院中の病院、ケアマネジャーなどに相談してみましょう。
2・生活保護も1つの方法
家族や生活状況にもよりますが、生活保護を受けながら施設に入居するという方法もあります。
それには世帯収入が重要がカギとなってくるわけですが、もし高齢者自身の収入や財産が少なく、生活保護が見込める状態であるならば、生活保護を検討してみてもいいでしょう。
もしご家族と一緒に同居している状況であるならば、生活保護を受けることを前提として、ご本人様だけ一定の期間施設に入居・住所の異動をし、そこで生活保護の申請を進めていくことも可能です。
生活保護を受給することが出来れば、施設の入居費用も生活保護費から賄うことができ、ご家族の負担も減らせることができます。
しかしご家族の就労状況や介護力、市町村などによっては、生活保護の申請をしても認められないこともあるため注意が必要です。
3・身近な相談員に相談してみる
個人的にはここが一番重要。
患者さんやご家族はなかなか他の人に相談ができず、身内だけで悩んでしまっているという傾向があります。
きっと他人に言うのが恥ずかしかったりするんでしょうね。
私たちはこのような相談に対する専門家であり、できるだけ患者さんやご家族の思いを尊重して安心して暮らせるような環境づくりをしたいと心から思っています。
ですのでご家族の方は自分達だけで悩まずに是非身近にいる相談員相談員に声をかけていただきたいと思います。
私達は一般的な方よりは介護や医療、施設に対する知識は持っていますし、施設関係者と連絡が取ることもできますんで、スムーズに施設の状況を把握することも可能です。
まずは自分たちで悩まず、誰かに助けを求めること、ここを最優先でしてほしいと思います。
お金、介護、退院場所など…退院についての不安は病院の相談窓口へ~退院支援の専門家とは~
もし身近な人や地域で相談がしにくい場合には介護専門の相談サイトもありますので、こちらでも気軽に相談だできます。
まとめ
まずは自宅でサービスを利用して生活が出来ないかを考えてみる
自宅がどうしても無理なら施設を検討
施設入居のために病状や生活の見直しをし、生活保護を検討してみる