リフォーム

風呂・浴室のリフォームで介護保険の補助金はもらえる?浴槽の深さやまたげるかなどもチェックしよう

さやみん

「親が入浴するのが大変そう」

「骨折や脳梗塞後で思うように体が動かない」

「1人暮らしなどでお風呂で何かあった時が心配。」

ご両親に対しこのような不安があって、お風呂場のリフォームを考えているあなた。今のままだと入浴するのに不便だけど、どのようにお風呂場をリフォームすればいいのか悩んではいませんか?

ただ一般的なリフォームをするだけでは、ご本人の状況に合わずに適切なリフォームを実施することができません。利用する本人に合わないリフォームを実施して後悔している方もたくさんいらっしゃいます。

そしてお金で損をしないためにも、お風呂場のリフォームは介護保険の補助金を受けることも可能で、最大20万円の補助金を受けることができます。このようなことを知っていないと、リフォーム後に補助金をもらい損ねたということにもなりかねません。

今回はお風呂場のリフォームを検討している方に向けて、浴室のリフォームの方法と、ご本人に合った浴室の環境の作り方、介護保険で利用できる補助金の申請方法を説明していきたいと思います。

お風呂での入浴中の事故の現状

最初に見ていただきたい資料がこちら。こちらは高齢者の事故の場所別にまとめた統計です。

出典:内閣府 平成30年版高齢社会白書(全体版)  

平成30年度においては高齢者の事故の45%が居室で第一位となっています。対して風呂場や洗面所と言った水周りでの事故は約3%程度と少なめの結果になっています。事故の発生率としては少ないですが、居室と比べ滞在する時間が少ない分、発生率も低下していることが考えられます。

でも事故の発生率は少ないと言って安心してはいけません。

※東京都健康長寿医療センター研究所 「入浴時の温度管理に注意してヒートショックを防止しましょう」パンフレットより引用

このグラフからも分かるように入浴中の事故は、心肺停止や死亡事故に直結するような重大な事故が発生しやすいという特徴があります。冬場のヒートショックは脳卒中や心筋梗塞などの病気のリスクも高くなるため、注意が必要です。

さらに居室と風呂場内での転倒を比べると、水回りで足元が滑りやすく、骨折や頭部の損傷のリスクが居室より高くなり危険な場所といえます。

実際に病院に搬送される方の中でも、入浴中に高齢者が浴室で意識を失っていて、家族が気づくのが遅くなり、長時間経過してから発見して搬送されるというケースが多くあります。

このように浴室は事故の発生率は少ないけれども、見守る人もおらず、事故が発生した場合には重大なリスクある場所ということができます。

ですので浴室環境を安全ですごしやすい環境にリフォームをすることは生活している本人を守るためにも重要なことだといえるでしょう。

浴室のリフォームの必要性と目標

先ほどの統計からも、お風呂場での事故は脳卒中や心筋梗塞などの病気の発症や、最悪の場合、意識を失って心肺停止といった重大な状態になってしまう危険性があるということがわかってもらえたと思います。

そのため、浴室のリフォームで気をつけるべきポイントは、

  • 高齢者が自分で安全に入浴ができるということ
  • 緊急時に誰かに伝えることができること
  • 急変のリスクを少なくする環境を作る 

この3つのことが重要になってきます。このポイントをもとに、どのようにリフォームをしていくべきかを考えていきましょう。

浴室のリフォームが必要になるケース

まず、あなたの家やご両親の家の浴室がどのような環境かを改めて確認する必要があります。

チェックリストにしてみたので、少しでも当てはまる場合にはリフォームを検討するべきといえます。

お風呂のリフォームの必要性のチェックリスト
  • 高齢者本人休んでいる方が使いにくいと感じている
  • 浴槽をまたぐことができない
  • 床がタイルなどで滑りやすくなっている
  • 手すりが付いていない
  • 杖や歩行器、車椅子が必要になった
  • 居間との温度差が大きい
  • 緊急時に誰かを呼ぶ方法がない

現在の浴室がこのような状態の場合は、より安全に快適に入力できるような浴室リフォームを検討することが必要です。

高齢者は徐々に体力が低下していくことを考えて

今は自分で動けていて問題なく入浴ができているような高齢者の方でも、年々体力が衰えてくると、自分でも気づかないうちに転びやすくなっていたり、浴槽をまたぐのが大変になったりしてきます。

そして、知らず知らずに無理をして体力や筋力に合わない浴室を使っていることで、転倒や事故に繋がってしまうことも・・・

そのため高齢者の場合は、徐々に低下していく筋力や体力を考慮し、将来的にも入浴しやすい環境をリフォームの際に整えておくことが重要です。

家族が遠方で本人の状況がわからない時には家屋調査をしてもらおう

今このサイトを見ているあなたが、遠方にいるご両親や、1人暮らしや夫婦だけで生活しているご両親のことを心配している場合、実際にご本人がどのような生活をしているのかわからないという方も多いと思います。

そうなると適切にご本人の体力や筋力の状態を把握することが難しく、適切なリフォームの方法が分からないと感じている方も多いのではないでしょうか?

そういった方は、ケアマネージャーや病院スタッフが自宅を訪問し、ご本人の状況と自宅の環境を統合的に判断する家屋調査をしてもらうことをおすすめします。

実際に日々の生活を見ているケアマネージャーや施設や病院のスタッフが、ご本人が自宅で生活ができるのかどうかを判断してくれるため、どのように自宅をリフォームしていけばいいのかについてもアドバイスをもらうことができます。

もしご本人が介護保険のサービスを使っていたり、入院中でリハビリなどをしているような場合には、介護や病院のスタッフに相談しこのような家屋調査を提案してみましょう。

浴室のリフォームのポイント

では実際に浴室をリフォームする際に確認するべきポイントを見ていきましょう。

浴室までの移動や動線

浴室だけではなく、浴室まで行くための導線や廊下などに手すりがあるかどうかも確認しなければいけません。必要時は工事で手すりをつけてもらいましょう。

また、車イスや歩行器などを使う場合には十分なスペースが取れているかも確認が必要です。

脱衣所や洗面所の環境

浴室に隣接している脱衣所もチェックするべきポイントです。

脱衣所では衣服を脱ぎ着することで、ヒートショックなどの状態変化が起こりやすくなるため、特に冬場などは温度差を少なくするような工夫をしておくことが重要です。狭いスペース用の小型ヒーターなどを使用したり、リフォームと一緒に浴室暖房機などを取り入れることもできます。(※浴室暖房機は介護保険の補助金の対象外です。)

浴室への出入り口の段差の有無

脱衣所から浴室段差がある場合には、その段差をなくす必要があります。簡易式のスロープの設置や工事で段差をなくすなどの方法があります。

浴室の扉の形状

浴室の扉が押したり引いたりするような開き戸の場合は、歩行器などの補助具を使用していると使いづらく、開け閉めも大変になります。引き戸や折れ戸にすることで、開け閉めもスムーズで歩行器などを使っていても安心して移動することが出来ます。

引き戸や折れ戸の方が車椅子にも対応しやすいタイプと言えます。

浴槽の高さと深さ

浴槽はまたいで入浴しなければならず、高齢者にとって不安定な体制になったりとかなり負担の大きい動きになります。

高すぎると転倒や溺れてしまうなどの危険もあるため注意が必要です。リフォームによって低い浴槽に変えたり、入浴時に浴槽に腰かけて安全に入浴できるアイテムを利用することも可能です。

ご本人がしっかり浴槽から出入りできるかどうかを確認しておくことが重要です。

浴室内の手すりの有無

浴室内には必要な箇所に手すりを取り付ける必要があります。

まずは浴槽へ入る際に捕まる捕まれるような手すりと、浴槽で座っている体勢から立つ体勢になるための浴槽に付属した手すりは必須です。また洗い場にも手すりがあるといいでしょう。

また手すりの形にも縦型や横型、L字型といったさまざまなタイプがあり、ご本人の状況に合ったものを専門スタッフからアドバイスをもらいながら選んでいくと失敗が少なくなります。

緊急時の対応

昔ながらの家ではただお湯を沸かすだけの機械が付いているだけで、なかなか家族とコミュニケーションを取ることが難しいという家庭も多いですよね。しかし浴室では、高齢者だけになってしまい、中で急変が起こってしまうと家族が何も分からないまま放置されてしまうことになってしまいます。

そのような事態を防ぐためにも、緊急通報ができるボタンや家族とコミュニケーションがとれる機器などをリフォームの際に設置しておくとオススメです。

部分別浴室のリフォームの実際と介護保険の適応

では、実際に住宅リフォームの方法とそれぞれ介護保険が適用されるかどうかを解説していきます。

浴室の入り口の段差を解消する(介護保険適応あり)

脱衣場から浴室へ入る際の段差を解消するために、スロープを取り付けるリフォームは介護保険で施行することができます。工事でスロープを取り付けることもできますが、簡易式のスロープを設置することも可能です。このように工事がいらない場合には、リフォームではなく福祉用具を介護保険でレンタルするという方法になります。

浴槽や広さの変更(介護保険適応あり)

車椅子で入ることができないような狭い浴室であったり、浴槽自体が高すぎてご本人がまたげない浴槽の場合には、浴室や浴槽をリフォームする必要があります。

この場合にも介護保険の適用となり、住宅改修の補助金を受けることが可能です。しかしかなり大規模なリフォームになるため、20万円の限度額を超えてしまうことが予想されます。事前に見積もりをとるなどし、ある程度は自己負担分が発生してしまうことは覚悟しておきましょう。

しかし将来的に体力の低下や車椅子での生活が余儀なくされることが分かっている場合には、その都度その都度リフォームを積み重ねるよりも、1度で大きなリフォームをしてしまった方が経済的にもお得になることもあります。将来的な安心にもつながるため、思い切って大規模なリフォームをしてみるのも一つの方法です。

暖房の設置(介護保険適応なし)

上記でも説明したように、浴室はヒートショックなどによる急変や体調不良が起こりやすい場所となっています。心筋梗塞や脳梗塞といった命に関わるリスクがあるので、出来るだけ居間と浴室の温度差を少なくしておくことが健康のためにも重要です。

あらかじめシャワーで浴室や脱衣室の温度を上げておくといった方法もありますが、リフォームで浴室暖房などを設置しておくと、自然と浴室や脱衣室の温度差が解消されて安心して過ごすことができます。しかしこの暖房の設置においては、介護保険適用外となっており、全額自己負担となりますので注意しましょう。

シャワーチェアの設置(介護保険適応あり)

よくあるお風呂場用のイスでは高さが低すぎて、立ち上がりが大変だったり、背もたれがなくて座っているだけで疲れてしまうという方も多いと思います。そんな方には四つ足で高さが適度にあり、背もたれがついていて、入浴時に疲れにくいシャワーチェアを使うことをおすすめします。

このシャワーチェアはリフォームではなく、介護保険を利用して安く購入をすることができます。

足腰に不安がある方は必ず使用するべきアイテムだと言えます。

バスボード・入浴台(介護保険適応あり)

バスボードとは、浴槽のふちに掛けて浴槽への出入りを助けるためのアイテムです。

浴槽をまたいで入浴するのが困難な方の場合、このバスボードにいったん腰をかけ向きを変えて浴槽へ入ることで負担がなく入浴動作を行うことができます。簡単に取り付けることができて、負担軽減にもなるため、浴槽をまた行くのが困難な方にはオススメのアイテムです。

こちらもリフォームというよりは、福祉用具をレンタルするといった方法になるので、介護保険を利用して担当のケアマネージャーに相談してみましょう。

すのこの設置(介護保険適用あり)

その子の設置は段差を解消するだけではなく、タイルなどで滑りにくいような床での転倒を防止する目的があります。元々段差があるような浴室の場合や床が滑りやすい浴室におすすめです。

こちらもリフォームではなく、福祉用具のレンタルとして利用することができるのでケアマネージャーに相談してみましょう。

浴室のリフォームの流れ

住宅リフォームの流れについては、こちらの記事で詳しく説明しています。リフォーム前の申請が必要など、注意しないといけないポイントもあるため、必ず読んで申請に漏れがないようにしておきましょう。

介護保険からの補助金の金額は?

このような浴室を含めたリフォームにかかった費用は、介護保険の適用になり20万円まで補助金を受けることができます。そのためには事前の申請やリフォーム業者に記入してもらう書類があるので、必ず介護保険の申請の住宅改修の申請の流れを事前に理解するしておきましょう。

リフォーム業者の選び方

介護保険で20万円までの補助金が出る住宅のリフォームですが、業者に頼むならできるだけ安く、そして安心できる業者を選びたいですよね。

現在このような介護の目的でのリフォームは増加しており、高齢者が安心して過ごせるような環境を提案してくれるリフォーム業者はたくさんあります。

でも実際にどこのリフォーム業者がいいのかわからないような場合には、複数のリフォーム業者の見積もりを比較し自分に合ったリフォーム業者を探してみましょう。
タウンライフリフォームのような検索サイトを利用すると一括で複数の業者の見積もりを依頼できるので便利です。
できるだけ安くリフォームを行いたい方や、自宅近くにどのようなリフォーム業者があるのかが分からない方におすすめの方法です。

まとめ

高齢者が安心して過ごすための住宅リフォームは年々増えており、介護保険の適用で補助金も受けることが可能です。リフォームをしようか検討している場合には、なるべく早期に本人の状況に合ったリフォームをしておくと将来的にも自宅で安心して生活することができます。

「まだいいや」とリフォームを後々にしてしまうと、体力や筋力がさらに低下して転びやすくなってしまったり、浴室で脳梗塞や心筋梗塞といった命に関わるような病気を発症してしまうリスクも高くなります。

あなたがご家族のことを心配に思っているのであれば、できるだけ早めにリフォームを検討してみるのがいいのではないでしょうか?

ぜひ浴室のリフォームの際の参考にしていただければ嬉しいです。

この記事を書いている人
管理人 さやみん
管理人 さやみん
現訪問看護師 ケアマネジャー 元退院調整看護師
総合病院勤務の時に1000人以上の患者様、ご家族様からの介護・病気・終活などの相談に対応。 「その人らしい生き方」「介護で苦しまない」をモットーにアドバイスしています。 治療も介護も正解はない! 「これでよかった」と思える人を増やすべくネット上で活動しています。
記事URLをコピーしました