デイサービスとは何をするところ?手続き方法と失敗しないための選び方
[char no=”1″ char=”パパ”]おばあちゃんが近所の人に誘われて「デイサービスに行きたい」って言いだしたんだけどデイサービスってどんなところなの⁉お金ってかかるの⁉[/char]
[char no=”7″ char=”ママ”]ケアマネージャーさんや病院の看護師さんにもお父さんがデイサービスに行くことをすすめられたんだけど・・・
どうしてかしら?お父さんは行きたくないって言っているのに行く意味ってある?[/char]
家族側としては「デイサービス」と聞いても、なじみがなさ過ぎてあんまりぴんと来ない方も多いのではないでしょうか?
でも上記のように、自ら「デイサービスに行きたい」と希望する場合や、ケアマネージャーなど身内以外の人に勧められてデイサービスに興味を持つことも少なくありません。しかしどのように利用したらいいのか、お金はかかるのかなどわからないことも多いと思います。
今回はそんな「デイサービス」について分かりやすく解説していきたいと思います。
デイサービスとはこんなところ
デイサービスとは介護保険のサービスであり、「通所介護」と呼ばれるものです。通所というくらいですから、自宅を出てデイサービスの事業所まで送迎などをしてもらい、そこで半日だったり1日だったりを過ごすことになります。
これとは反対に「訪問介護」と呼ばれるものがあり、いわゆる「ヘルパー」と呼ばれるものになります。
自宅に介護職員が出向いて、料理や洗濯などの身の回りのお手伝いをしたり、体を拭いてもらったり、お風呂の介助をしてもらうなどの体の援助などを行います。
デイサービスは「通所」というくらいですから、わざわざ自宅を出てデイサービスの事業所で過ごすことでのメリットがある方が利用しています。
その内容ややメリットについて、詳しくお伝えしたいと思います。
デイサービスでできること
デイサービスではこんなことをしています。
-
- 食事の提供
- 入浴サービス
- レクリエーション(みんなでゲームをしたり、歌を歌ったりなど)
- リハビリテーション
- 送迎など・・・
デイサービスは基本は集団活動になります。広いホールのような場所に、同じ利用者が集って、みんなで楽しめるような活動をしています。その活動内容はデイサービスが独自に設定しているので、事業所ごとにさまざまな特徴があります。地域に密着しているようなデイサービスでは、地域の小学生や保育園などを呼んで子供と交流したり、中にはお金を払って、イベント業者などを呼んで演奏などをしてもらうなどの活動を行っているデイサービスもあります。
つまりこの活動内容については「デイサービスごとに特色がある」と言えるのです。そして利用者にとってみれば、ここが一番の楽しみであり、魅力、やりがいにつながる重要な部分でもあります。
言い換えるとこの活動内容が利用者に合っていないと、
「これじゃ楽しくない」
「行く意味がない」
「お金と時間の無駄だ」
という結果になってしまうこともあるのでデイサービスを選ぶ際には注意が必要です。
選ぶ際のコツはこの後でまたお伝えしますので、少しずつ説明させてくださいね。
デイサービスには誰がいる⁉
※画像はイメージです。
デイサービスで利用者と接するスタッフはこんな人たちになります。
- 介護職員
- 看護師
- 相談員
- リハビリに携わるような人(作業療法士、理学療法士、言語聴覚士など・・・)
しかしこれらは法的に「専従」という形で定められていれば問題がないもので、実際の現場には介護職員しかいない時間帯もあるデイサービスも存在します。(本来はあまりおすすめできませんが・・・)
反対にリハビリに力を入れているデイサービスでは、リハビリ専門の職員が個別に指導をしてくれたりするデイサービスも存在します。
看護師については、ほぼいることが多いようですが、デイサービスも本当に数が多くピンキリなので経営がきついような事業所はもしかしたら人員削減でいない時間もあるかもしれません。
実際に「インスリン注射を看護師がいないために介護職員が注射した」なんで噂も聞くくらいですから・・・
私だったらそんな事業所に親を預けたりは絶対にしません。
デイサービスに医療職(看護師やリハビリ職員など)がいる重要性
高齢者はほぼ100%といっていいほど持病を抱えています。
その持病は医療行為が必要なもの(インスリン注射や内服管理など)があるケースも多く、日中の大半を過ごすデイサービスでは重要な症状の観察が必要となります。
病院にはよくデイサービス利用中の高齢者が緊急で受診することがよくあります。
- デイサービス中に転倒したが、経過を見ていたら様子がおかしくなった。⇒硬膜下血腫で寝たきりに。
- 腹痛を訴えたが、様子を見て自宅に返した。⇒自宅から救急搬送され胆管炎に。
などデイサービス関連の受診って病院にとってみると意外によくある事例なんです。
もちろんデイサービスが悪いわけではなく、ちゃんと観察をしてもらって受診し、重大な病気を発見できたケースも多数あります。しかし残念ながら
「なんでもっと早く来なかったの?脳梗塞ならデイサービス中に来ればもっと麻痺が軽く済んだかもしれないのに!」
と怒りたくなる残念なケースも存在しました。
看護師やリハビリ職員ががついていて、ちゃんと観察が出来ていたのなら・・・
でもこのようなデイサービスの詳細な中身までは、これから利用する方にはなかなか判断がつきにくいものだと思います。
しかもデイサービスの介護職員と呼ばれるスタッフは、特別な資格を定めているわけではなく、何も資格がない一般の方が「介護職員です」と名乗ればそれでOKということにもなってしまうのが現状です。
これじゃ大事な家族を預ける立場としては、不安になってしまいますよね。
ではどうすれば安心して通えるデイサービスを見つけることが出来るのでしょうか?
まずはデイサービスを使うための手続きや条件などから説明していきます。
デイサービスの利用条件
デイサービスの利用に必須なのはとにもかくにも「介護保険の申請」です。
はい、でました。介護保険。
これを聞くだけで嫌になってしまう方もいますよね(笑)なんじゃそらって。
そんな方にてっとり早く難しい話をしないで教えるなら
役所に行って「デイサービスを使いたいんだけど!」と伝えるだけでOK。
介護保険証と印鑑は忘れずに。(介護保険証がない場合はそのまま役所にい行けば大丈夫)
簡単に言えばこれで申請は出来ます。いろいろ質問されたりしますので、時間だけは余裕を持って行ってくださいね。
難しい説明を聞いてみたい方はこちら↓
老人ホームとは⁉介護や施設をはじめて知る人のための超簡単解説
お金はどのくらいかかる?
お金のことについても、介護保険や介護度ということが関係してきます。
どんなに介護保険に疎い方でも「要支援」や「要介護」という言葉は聞いたことがありますよね。
要は介護の程度をランク分けしたものになります。
そのランク分けによって、「デイサービス(介護サービス全般)をつかえる限度額が決まる」という仕組みになっています。
あるデイサービスの料金表を参考にさせてもらうとこんな感じです。
これは要介護のみの料金表になりますが、1回の利用でこのくらいかかります。
これが要支援(要介護よりも軽い、自分でなんでもできる状態)の場合には、
- 要支援1:週に1回のデイサービスの利用が可能
- 要支援2:週に2回のデイサービスの利用が可能
という条件が付くようになります。
その条件下でのひと月の料金はこちらになります。
このように介護度によって料金も差が出てくるため、まずはしっかりと「介護保険の申請」から始めていきましょう。
ちなみにここで紹介した料金表はあくまでもある事業所のものであり、
デイサービスの事業所によって金額にも大きな差があるということを覚えておいてください。
本当に今ではデイサービスが多くなり、何もかもがピンキリの状態なのです。
拒否されてしまうこともある?
実はこちらがどんなにお金を払う意志があっても、デイサービス側から受け入れてもらえないというケースも存在するのです。
それはどんな場合かというと
- 医療処置の負担が大きい
- 状態が変化しやすい
- 無茶な要求をしてくる
こんな場合にはデイサービスの側から断ることもしばしばありました。
例えば1の医療処置については、糖尿病で自己血糖測定を毎食前後の1日6回もしていて、さらにインスリン注射もしている方で自分で適切な管理が出来ない場合にはやはりデイサービス側の負担が大きすぎるということがありました。あとは経管栄養(鼻や口、胃ろうから栄養剤を注入する方法)も時間がかかりすぎるために断られたこともあります。
2の状態が変化しやすい方というのは、癌の末期などで吐血や喀血のリスクがある方や、入浴をすることで血圧が下がりすぎてしまう方も難色を示されたこともありました。
3の無茶な要求というのは要はモンスターペアレンツならぬ、「モンスターファミリー」のことであります。
「仕事でいなくなるから、必ず9時には迎えに来て18時前には送ってくるな。」
「急に都合悪くなったから、デイサービスの日付をずらせ。」
「本人がデイサービスに言っても座りっぱなしだといっている。もっと楽しませろ。」
というようなデイサービス側のことを考えない言動が見られる場合には、利用拒否をされることもあるので、ご家族の方は注意してくださいね。
その人に合ったデイサービスを見つける方法
さて今日の本題はココです。
なかなか実態をつかめないデイサービスの本質を見抜き、本人に合った安心できるデイサービスを見つけるための方法をお教えします。
その答えはズバリ「わかる人に聞いて、実際に体験してみる」です。
わかる人とは、その地域のデイサービスのことを把握していて、かつデイサービスの計画を立ててくれるケアマネージャーさんがまずは第一候補でしょう。そのケアマネージャーに相談してみるのが一番楽でスムーズな方法です。
しかし中にはケアマネージャーでも「絶対にここがおススメ!」といって、その方に合わないデイサービスを推してくる人もいますので、その場合には「地域包括センター」や「かかりつけ病院の相談窓口」などに相談をしてみるのもいいでしょう。
そうしていくつかのデイサービスを比較できるような機会を作ってもらいます。
現在では実際にデイサービスを比較して選んでいるという方はそんなにいないと思います。
ケアマネージャーさんがすすめたデイサービスを信頼して利用しているという方が大半です。もちろん納得して利用できていればそれで全く問題はないのですが、私は看護師なので、患者さんとして接している中で
「実はデイサービスあんまり好きじゃないのよね。」
「リハビリも最初しかしてくれなくて、もう行きたくない。」
「ケアマネージャーさんに相談したいけど、全然連絡がつかなくて・・・」
と愚痴をこぼされる方がいるのです。
せっかくお金を払って通っているのに、自分に合ったデイサービスを見つけられていないなんてもったいないと思うのです。ならまた別のデイサービスを体験して、自分に合う場所を見つけてみてもいいんじゃないのかと思います。ご家族の方はデイサービスを利用している時は、その反応や感想をしっかり聞いてあげて欲しいと思います。
デイサービスはこんな方におすすめ
ではデイサービスってどんな方が利用した方がいいのでしょうか?
一番上で挙げた例のように、
本人は行きたくないって言っているけれど、ケアマネージャーや病院でデイサービスを勧められた場合
とはどういう意味なのかも考えてみたいと思います。
本人にメリットがある場合
- 本人が希望している
- リハビリを必要としている
- 人と話すのが好き
- 趣味やイベント活動に参加したい
- お風呂に安心して入りたい(見守りがある)
- 食事を提供してほしい
- 薬などの管理をしてもらいたい
- 家にこもってばかりで気分転換を図りたい など・・・
このように外部と接触することで、ご本人のモチベーションも上がり、いきいきとした生活をおくることが出来ます。また自分で料理や入浴が出来ない場合でも、デイサービスではしてもらえたり見守りがあるので安心して過ごすことが出来るのもメリットです。
家族にメリットがある場合
実はケアマネージャーや病院から提案されるケースというのは、こちらの家族全体のことを考えたケースであることが多いのです。ざっくりいうと2パターンに分かれると思います。
まずは結構難題でもあるのですが、「共依存」といって夫婦同士や親子同士などがともに依存しすぎる状態のケースです。結果的に家庭全体のバランスを崩したり、健康状態を損ねたりということにつながってしまいます。
具体的な例だと、高齢の夫婦がともにあまり動けない状態で一所懸命家事など協力してやっていたのに、妻としては動けないことと夫に迷惑をかけていることに対する強いストレスからうつになってしまったことがありました。このように依存しすぎて、悪い方向になってしまうようなケースでは、誰も望んでいなくても一旦はお互いの時間を持ったり、外部の人間と接する時間を持つことでお互いに余裕がうまれ、家族がまた再建出来ることもあるのです。
次は家族が危機感がないというパターン。
入院中にかなり体力が低下していて、認知症もありそうだな、というような場合は
「このまま自宅で元の生活が出来るかどうか」
というアセスメント(考察)をしていきます。
もし自宅に戻れない、あるいは生活に支障が出そうだなと感じた場合には施設入所をすすめたり、まずはデイサービスで見守る時間を作ることを提案させていただくことになります。だから「デイサービスを提案される」ということになるんですね。
意外に自宅に帰れなくなってしまう方は多いんですよ。
詳しくはこちら↓
高齢者が退院したら自宅に帰ると思ってはいけない!退院困難者であふれかえる現在の病院事情とは
「一人暮らしの親が自宅で生活できるか」家族が考えるべき視点を看護師が教えます
そうしてそのことをご家族に伝えようとするのですが、その家族が遠方に住んでいたり、楽観的に考えてしまう場合は
「今の状態も今までと同じだから大丈夫です!今まで通りに出来るんでサポートとかいりません。」
という反応が帰ってくるんです・・・Σ(゚д゚lll)ガーン
そうなるとこちらがどんなに説得しても、暖簾に腕押し状態。
ケアマネージャーがいる場合にはケアマネージャーとも協力してご家族を説得してみるのですが、効果がないことが多いですね。そうして退院してみると・・・
「話が違う!今まではこんなんじゃなかった!病院がこんな風にしたんだから責任取れ!」
なんて言われてしまう始末。
なので、もしケアマネージャーや病院からデイサービスの提案などのアドバイスをもらったような心当たりがある方はこんな事例になる可能性もあるので注意しましょう。
デイサービスだけじゃない他のサービスも知ってみよう
なんか話が別の方向にそれ始めたので、戻しましょう。
デイサービスの概要はここでなんとなくお分かりいただけたでしょうか。
デイサービスにはたくさんのメリットがあり、その方によって合う合わないがあると書きました。そうしてご家族にもメリットがあるということも。
自宅の外に出て、誰かに見守ってもらう安心感というものはご家族にとっては何よりの安心につながりますよね。大事なご家族を預ける場所はぜひしっかり納得出来る場所を選んで欲しいと思います。
そして高齢者は徐々に徐々に身体機能や認知機能が衰えていくことになりますが、もしご家族がデイサービスでも大変・不安だということになればもっとサービスの導入をしていかなければいけません。
デイサービス以外の時間帯にヘルパーや訪問看護などを利用して、見守る時間を作ってもらうこともできます。それでもご家族が不安になってしまうのなら、施設入所に決めてしまうのもアリかと思います。
「親を施設に入れたい」と思う時とは~介護か施設か決断するためには~
この仕事をやってて常々思うのですが、「答えがない・マニュアル通りにいかない」と感じます。
それは本人・家族・環境すべてが複雑に絡み合っているからこそ、必要なサポートを探っていかないといけないと思ってやっています。
でも上手くサポートしきれていない方って非常に多い。
私もまだまだ勉強中ではありますが、どうかこれから高齢者の皆さんが自分らしく生きる場所を見つけられるようにと思います。
またサービスについて書いていきますね。