住宅改修とは?介護保険で要支援でもできる?住宅改修の場所や金額をまとめてみた
あなたの親が足腰が弱くなって、自宅での生活が心配に感じてはいませんか?あるいは自宅で転んだりつまづいたりしている親を見て、危ないと感じたことはありませんか?
高齢者の場合、筋力や瞬発力が低下していることにより、自宅で転んだりすると骨折や最悪の場合、脳出血(更硬膜下血種や硬膜外血種など)をきたす恐れもあります。
この状態を放置していると、寝たきりになったり後遺症で麻痺になってしまう恐れもあり大変危険です。
実際に私は総合病院で毎日のように自宅で転倒して運ばれてくる高齢の患者さんをみています。そうすると声をそろえてご家族の皆さんがこういうのです。
自宅で転ぶ方の共通点とその後の生活
「こんな風になるとは思わなかった」
「今まで自分で生活していたから大丈夫だと思った」
転んだ方のご家族は、ご本人の状態を今まで知っていたにも関わらず今まで大丈夫だったから平気と何もしないまま、過ごしてきた結果、このような事故などにつながって初めて後悔をしているのです。
あなたも同じ考えをしていませんか?
こちらは厚生労働省の公式ホームページにある介護予防政策レポートの資料の一部です。
介護度別に、なぜ介護が必要な状態になってしまったかを示したグラフになっています。この表の緑の部分が「骨折・転倒」を示しており、要介護の状態に影響を及ぼしているということがお分かりいただけると思います。
そして一度転んでしまい、骨折や脳出血などを起こしてしまった場合はその後入院をして、リハビリなどを含めると半年以上自宅へ帰れなくなることも。
その間に認知力の低下や、環境の変化で元の自宅に戻れなくなってしまう方がたくさんいるのです。
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転倒予防は家族の意識だけで防ぐことができる
このように家族の生活を危険だと感じたまま放置していると、いずれ骨折や脳出血で寝たきりになってしまう可能性や、そのために自分が介護をしなければいけなかったり、自宅以外の施設への入居を考えたりしなければいけない状況になってきます。
これはいいかえるとあなた自身の生活が脅かされるということになります。
実際にこのように自宅で転んで、元の自宅に戻れなくなってしまった方のご家族は
「どうして」
「こんなはずじゃなかったのに」
と予定外の介護や施設入居の費用などで悩んでいるのです。
重要なのでちゃんと言います。
家族を守ることは、あなたの将来の生活を守ることになるのです。親が自宅で事故がないように、安全な環境を整えてあげることができれば、このような転倒のリスクは減らすことが出来ます。
そして上記の介護度別の原因を見てもらうと分かるように他の原因は「認知症」「脳血管疾患」といった病気で、発症することを防ぐのはなかなか難しいものばかりですが、この「骨折・転倒」は家族や本人の意識や行動次第で未然に防ぐことが出来るものです。
そして介護が必要な状態にならないために今できること、それが住宅改修なのです。
前置きが長くなってしまいましたが、それほどこの住宅改修は介護要望にとても効果があるもので、家族の意識次第ですぐに取り組めるものだということがお分かりいただけたでしょうか?
そこを理解していただいてここから住宅改修についての解説をしていきたいと思います。
住宅改修とは
介護保険で利用できる住宅改修制度というものを知っていますか?
上記で解説した「介護を未然に防ぐため」に自宅をリフォームして住みやすくするためのことを住宅改修といいます。
厚生労働省は住宅改修の概要をこのように示しています。
要介護者等が、自宅に手すりを取付ける等の住宅改修を行おうとするとき(*)
は、必要な書類(住宅改修が必要な理由書等)を添えて、申請書を提出し、工事完
成後、領収書等の費用発生の事実がわかる書類等を提出することにより、実際の住
宅改修費の9割相当額が償還払いで支給される。
なお、支給額は、支給限度基準額( 万円)の 割( 万円)が上限となる。
引用:厚生労働省 介護保険における住宅改修より
介護保険の制度を利用すれば、介護のためのリフォーム費用が住んでいる自治体から、最大で20万円支給されるというありがたい制度なんです。
20万円って聞いてびっくりした方もいるのではないでしょうか?リフォーム費用をこんなに負担してもらうことを知らない方は意外と多いんです。
この住宅改修の制度をよく知らないっていう方のために、今回は初めての人にでも分かる解説をしていきたいと思います。
- 親のためにリフォームをしてみようと思っている
- 親が自宅で転んでいる、または転びそうで危ない
- 介護保険でリフォームができるって聞いたけどよくわからない
- 住宅改修をしたいけど、手続きや流れを教えて欲しい
このような方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
住宅改修とリフォームの違い
まず最初に多くの方が勘違いしやすいことを確認しておきます。
それは住宅改修とリフォームの違いです。
住宅改修:介護予防・あるいは介護が必要な方が住みやすくするために自宅を改修すること
リフォーム:目的は問わず、自宅の設備などを古いものから新しいものへ改修すること
このように同じ自宅を改修することでも、「介護のため」かどうかで住宅改修になるかどうかが変わってきます。
例えば
[char no=”1″ char=”パパ”]最近お風呂が古くて嫌だから住宅改修で新しいものに変えたいな[/char]
これでは住宅改修には当てはまりません。介護の為ではないですからね。
でも
[char no=”7″ char=”ママ”]お風呂が古くて、床は滑るし浴槽も深くて転びそうだから安心して入浴ができるものへ変えたい[/char]
という理由なら住宅改修が適応になります。
このように同じ「風呂場のリフォーム」でも、目的にとって住宅改修が適応になるかどうかが変わってくるため注意が必要です。なぜそこを改修したいのかという理由を明確にしておきましょう。
住宅改修を受けられる方とは
住宅改修を受けることができる対象者は、介護保険を申請して要支援・要介護の認定が出た方が対象となります。
介護保険はこの記事にあるように65歳以上の方であれば基本的には誰でも介護認定を申請することができます。
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つまり住宅改修においても、65歳以上の方であれば誰でも介護認定をして利用することができるということになります。
※上の記事でも書いていますが、あまりに元気な方が介護保険を申請しても「非該当」とされてしまうこともあります。この場合には介護保険の制度ではなく、自治体でそれぞれ住宅改修が適応になる場合もあるので、住んでいる地域の窓口などに相談してみましょう。
要支援・非該当でも住宅改修を利用することができる?
介護認定を受けて「要支援」となった場合でも、介護保険制度で住宅改修を利用することができます。
非該当となった場合には、市町村などの自治体によって対応が異なってきます。介護予防や生活支援事業といった制度で利用することもできるため、詳しくは住んでいる自治体の地域包括支援センターなどに問い合わせてみましょう。
住宅改修の場所と内容
実際に住宅改修をしている方は、家のどのような場所をどんな風に回収しているのでしょうか?
よく住宅改修で工事を行う場所などをについてお伝えしたいと思います。
手すりの取り付け
トイレや風呂場、玄関廊下などに手すりを取り付けることで、家の中での転倒を防ぐことができます。
比較的簡単な工事で済むため、足腰が弱くなってきた方が、まず住宅改修で取り付ける依頼するのがこの手すりの取り付けと言えます。
また、住宅改修は業者を依頼して工事を伴う改修作業を必要としますが、中には簡易式で簡単に置くことができるような手すりを利用することもできます。
このような簡単に設置できるものは、工事を伴わないため、住宅改修とは呼ばれません。
ケアマネージャーなどを通して、福祉用具をレンタルすることで自宅に設置することができるため、まずは簡単な手すりを設置してみたいと思った場合には、担当のケアマネージャーに相談してみましょう。
段差の解消
高齢者が住んでいる家で、多いのは、今や玄関、またはトイレの出入口などに段差があることが多く見受けられます。
このような段差があると、足腰や筋肉が弱ってきた高齢者はつまずきやすく、転倒の原因になってしまいます。
このような段差をなくすために敷居を低くしたり、車椅子でも通れるようなスロープを設置したり、またはトイレや浴室の床をかさ上げするような工事もすることが可能です。
また、こちら段差をなくすためのスロープ工事を伴わずに簡易式ですぐに設置できるタイプのものもあります。
このようなものをレンタルしたい場合には、担当のケアマネージャーなどに相談してみましょう。
引き戸などへ扉の取り換え
昔ながらの住宅では押して開けるタイプの扉が一般的ですが、このような扉だと歩行器や車椅子を利用してると開け閉しづらく、さらに開けたままにならないような扉だと毎回の開け閉めが負担になってしまいます。
このような扉を引き戸に変えることで開けっ放しにすることができたり、車椅子や歩行器を使っていても通りやすいというメリットがあります。
このような扉の工事も住宅改修の制度で利用することが可能です。
洋式便器等への便器の取り替え
昔ながらの和式トイレを未だに利用している高齢者は少なくありません。
しかし、足腰が弱ってきて筋力が衰えてくるとしゃがむという動作が大変になり、毎回のトイレ動作が負担になってきます。
和式トイレから洋式トイレに変えることで立ち上がる動作も負担もなくなり、足腰が弱った高齢者の方でもスムーズに立ち上がりの動作を行うことが可能になります。
このような様式便器への取り替えも、住宅改修の精度で行うことができます。
また立ち上がりの動作だけでなく、洋式便座にすると便座自体が暖かかったり、洗浄機能付きがついていることで排泄動作がしやすく不快感もなくなります。
ウォシュレット機能を使うと、おむつを使っている方でも清潔を保つことができるので、陰部洗浄のような介護の手間もなくすことが出来ます。
床の材質の変更
昔ながらの住宅で畳のお部屋に住んでいる方も多いと思いますが、畳のままだとベッドの搬入が難しかったりこたつなどを利用して、時間に床に座っているような体制だと立ち上がるのに負担が大き過ぎてしまうというデメリットがあります。
これを板張りやビニール系の材質に変更することでジャニーズある生活から4日に座る生活から床に座る生活から椅子と机がある生活スタイルへ帰ることで、足腰への負担が少なく生活しやすい環境を整えることが可能になります。
また、浴室の床がタイル張りなどで滑りやすいものの場合、転倒して骨折などの危険があります。浴室の床を滑りにくいものへ変更するという改修も、この住宅改修制度で利用することができます。
結果自体をリフォームするのは大変な場合でも、会員的な滑り止めマットを敷くといった方法もあります、このような場合には、工事は必要ないので、ケアマネージャーなどに相談してみましょう。
その他上記の住宅改修に付帯して必要となる住宅改修
- 手すりを取り付けるための下地補強浴室の床の段差解消に伴う給排水設備工事
- 床変更のための下地の補強や根太の補強
- 材料の変更のための路盤の整備扉の取り替えに伴う壁、または柱の改修工事、電気の取り替えに伴う給排水設備工事、床材の変更
住宅改修工事にともなうこのような補修工事も住宅改修の補助金で賄うことが出来ます。
よくある質問
では住宅改修を検討している方からよく聞かれる質問をまとめてみたいと思います。
夫婦のうち一方が介護保険を利用していて、もう片方の介護保険を利用していない人が住宅改修を依頼したい場合は可能か
例えば、すでに奥さんが要介護などの認定を受けていて、介護保険のサービスを利用している場合、旦那さんの方が足腰が弱くなり、奥さんの介護保険を使って住宅改修をすることが可能かという問い合わせもあります。
しかしこの住宅改修の制度は、介護保険を利用している方のための制度なので、まずは利用したいご本人が適切に渋滞保険の認定の手続きを進める必要があります。
介護保険の申請をすれば、65歳以上で要支援以上が出ればスムーズに介護保険から住宅改修制度を利用することができるため、まずは最寄りの地域包括支援センターや奥様などが利用しているケアマネージャーさんに相談するようにしましょう。
住宅改修と一緒に家のリフォーム家の全体のリフォームも行いたい場合はどうなるのか
例えばこの住宅改修と一緒に家自体が古くなってきたために、全体をリフォームしたいと考える場合、この住宅改修の費用の計算はどのようになるのでしょうか?
住宅改修費の対象外の工事を合わせて行った時は、対象部分の抽出などを適切な方法により住宅改修費の支給対象となる費用を算出しなければいけません
この場合はしっかり業者へ住宅改修の旨をつたえ、住宅改修の費用と単なるリフォーム費用を分けて考える必要があります。そして住宅改修にあたる部分のみ、費用の補助をしてもらえるという流れになります。
住宅改修は1度ですべてやらないとダメなの?
住宅改修の支給限度額は20万円とされていますが、この金額は1度で全て住宅改修を行わなければいけないというものではありません。
例えば、
- まず最初に3万円分の手すりの工事を行い、
- しばらくして今度はスロープを設置する工事で10万円の費用がかかり、
- さらに動きにくくなってトイレを和式便座から洋式便座月に変えるのに10万円かかった
とすると、この全ての金額において住宅改修の制度が適用になります。
このように小分けに工事をしたとしても、住宅改修費の支給額支給をしてもらえるので安心しましょう。
しかしトータルで20万円以上を超えた場合には自己負担になりますので、注意が必要です。
工事業者の指定はあるのか
住宅改修にあたり指定の工事業者は特別定められていません。
しかし工事を依頼する場合には、事前に申請書などを工事を請け負う業者に記入してもらう必要があるため、このような介護保険の住宅改修制度に理解がある業者を選ぶことが重要です。
詳しくはこちらの住宅改修の流れを参照してください。
基本的には住宅改修が全て終わった後で申請を出すのは遅く、住宅改修制度の適用にならない可能性もあります。
必ず工事を施工する前に、業者へ手続きをし、事前に申請書を作成してもらうようにしましょう。
工事業者が分からない場合には、このようなサイトを活用し、悪徳業者ではなく安心できる業者に依頼を選ぶようにしましょう。
「古いから」は理由にならない
この住宅改修の目的は、生活する方の生活動作の自立や安全性の確保を目的としています。
「古くなったから新しくしたい」という理由ではこの住宅改修の対象にはなりませんのでご注意ください。
住宅改修は新築や増改築の場合には支給されません
あくまで部分的な介護のための改修が適応になるということを理解しておきましょう。
まとめ
住宅改修は生活するご本人の安全をまもり、さらには介護予防にもなるというメリットがあります。
しかしこのような便利なサービスがあるにも関わらず、実際に利用に踏み切れている方はほんのわずかしかいません。多くの方が「今まで平気だったから」といって危険を認識しながら見てみぬふりをしてしまっているのが現状です。
でもその現状でさえ放置していると、いずれ転倒や頭部外傷などでご本人だけでなく、ご家族自身が苦しむ結果につながります。
すこしでもここを読んで「自分の親は大丈夫かな?」と思った方はできるだけ早く行動に移してみて下さい。