よくある質問と相談事例

施設や老人ホームでも抗がん剤はできる?施設選びは看護師が必須条件

さやみん

今日本では2人に1人が癌になる時代になりました。

そのため、癌の病気と付き合いながら生活しなくてはならないという方もたくさんいらっしゃいます。

 

特に足腰が弱ってきた高齢者の場合、がんの治療をしながら老人ホームなどの施設で過ごしたいという人もいますよね?

 

しかしこの抗がん剤治療は副作用が出たり、お薬を慎重に扱わなければいけなかったりと管理が非常に大変です。

 

そう聞くと

 

「抗がん剤は病院に入院していないとできない」

 

と思っている方も多いと思います。

 

今回は

  • 抗がん剤をしながらでも老人ホームや介護施設に入居できるのかどうか
  • またできるとしたらどのような施設がいいのか
  • 抗がん剤ができる施設選びで失敗しないための選び方

について解説していきたいと思います。

 

抗がん剤の種類には点滴と内服がある

まずはがんの治療の種類ですが、多くの方は抗がん剤と聞くと点滴から体の中に入れて、吐き気などの副作用でとても苦しいと思っている方が多いようです。

確かに一昔前ではそのように副作用で苦しいんでいる人もたくさんいましたが、最近では薬の種類もたくさん開発されるようになり、抗がん剤の副作用が出ても早期に対処ができるようになったり、副作用自体が軽く済むようなことも多くなりました。

また点滴だけではなく、飲み薬などもたくさんの種類が出ているので、生活や病状にあった治療を選ぶことが可能になっています。

 

つまり昔とは違い、抗がん剤の治療が病院以外でもしやすくなったといえます。

 

点滴治療の場合には病院への通院が必要

お薬の種類も増え、副作用の対応も良くなってきたことはメリットではありますが、点滴で抗がん剤治療をする場合には必ず病院で実施しなければいけません。

 

点滴の場合には化学療法が可能な病院で看護師が実施しなければならないためです。

 

また

 

病院ならどんな病院でもできるのか?

 

というとそれは間違っていて、がん専門拠点病院のような専門的ながん治療ができる病院でないと治療ができません。

 

それに対し内服の抗がん剤の場合には、自宅にいながら本人・家族が適切なお薬の管理をすることで、自宅でいつもの生活をしながら抗がん剤治療をすることができます。

介護施設や老人ホームで抗がん剤治療はできるのか

自宅で内服の抗がん剤治療をすることは現在では当たり前になりました。

そのため、老人ホームや介護施設などでもこのような内服治療の抗がん剤は施設にいながらでも可能ということになります。

 

じゃあどんな施設を選んでも平気なの?

 

と思うかもしれませんが、答えはNOです。

その理由は先ほども書きましたが、副作用の観察やお薬の専門的な管理のために看護師の存在が必要になってくるためです。

 

老人ホーム介護施設は看護師が常駐している施設を選ぶ

老人ホームや介護施設などへの入居をしながら、抗がん剤治療を希望する場合には、看護師が一日中いてくれるような施設を選ばなければいけません。

それはお薬の適切な管理のためです。

 

内服で行う抗がん剤治療の場合は、基本的には飲み薬と同じような飲み方で十分です。

 

 

時間になったら、決められた量のお薬を飲む

 

ただこれだけのことですが、この単純なことができない方も多いのが現状です。

 

一般的な理解力のある方であれば、自宅にいながらでも抗がん剤治療のために内服することは普通にできます。

しかし、老人ホームや介護施設に入居するような方とは、ある程度介護が必要であったり、認知力や体力が衰えてしまっている方が多いですよね?

 

その様な状態の場合、自分自身で適切にお薬の管理ができなくなってしまっているというケースが多く、飲み間違いや飲み忘れのリスクが高くなってしまいます。

 

例えば、

  • お薬をいつ飲んだか忘れてしまう
  • 朝と夕のお薬を間違えて飲んでしまう
  • 時間や曜日の感覚がない

このような形の場合は抗がん剤治療が適切にできるとは言えません。

 

ですので、このような間違いを防ぐために看護師が適切な管理を行う必要があるのです。

 

施設にいるヘルパーや介護職員じゃダメなの?

 

ここまで聞いて、

「お薬の管理くらいなら施設にいるヘルパーや介護スタッフだって十分でしょ?」

 

と思った方もいるかもしれません。

確かにヘルパーなどの介護スタッフでも、お薬を飲んだかなどの確認やお薬を飲むように促すなどの対応は可能です。

 

しかし、下記で説明する

  • 副作用の観察と対応
  • 抗がん剤による被ばく(抗がん成分による本人以外への悪影響)

などのケアも重要になってきます。

抗がん剤の副作用の観察

抗がん剤を飲んでいると点滴治療と同じように吐き気や脱毛、食欲不振などの副作用が現れやすくなってきます。

自分自身で症状が訴えられればいいですが、認知力が低下していたりするとなかなかこのような症状にも気づきにくく、早めに対処しなければいけない副作用も見逃されてしまう可能性があります。

 

例えば赤血球や白血球が極端に下がってしまう、汎血球減少という副作用に気づかずに、放置してしまうと命にかかわるような状態にもなってしまいます。

 

ちょっとした発熱や風邪症状、または貧血の症状、あるいはしびれや食欲不振などさまざまな副作用症状を注意して観察し、異常がある場合には治療をしている専門病院への受診することも必要になってきます。

このような適切な判断ができるような看護師がいることが何より安全に治療を行う上で重要になってくるのです。

 

排泄物からの被ばく

これはなかなか理解されていない方も多いのですが、抗がん剤というのは、細胞を殺すお薬です。

がんという悪い性質の細胞を殺すことはもちろんですが、その代償として新しく生まれ変わった正常な細胞まで殺してしまうというのがこの抗がん剤の最大のデメリットです。

だから、新しく生まれ変わろうとしている髪の毛や血を作る細胞、神経などがやられてしまうため、脱毛が起こったり、白血球や赤血球といった大事な細胞が少なくなってしまうという副作用が起きてしまうわけですね。

 

実はこの抗がん剤というお薬は、私たち看護師でさえ素手で触らないようにしています。

点滴で行う際はマスクはもちろん、ゴーグルと二重の手袋、さらに全身を覆うようなガウンを使って点滴を実施しているのが現状です。

 

その理由は皮膚につくと、そこが壊死するから。

 

細胞を殺すお薬なので、私たちのような正常の細胞も触れば壊死につながります。

がんの治療のためであれば、このリスクはしょうがないかもしれませんが、がんではない方にこのようなお薬の成分が付くということはとてもリスクがあるのです。

 

内服薬の場合では、実際にはお薬自体はコーティングされているのでそこまで心配はありませんが、問題なのは体から排出されるときです。

 

この抗がん剤は1週間から2週間程度は、おしっこやうんちなどの排泄物の中に排泄され続けます。

つまり抗癌剤治療をした人の排泄物にはこの抗がん剤の成分が含まれているということになるので、排泄物に触ったり、体につかないように十分に気をつけなければいけません。

 

しかし、例えば認知症などでこのような管理を自分できない場合には、どうしたらいいでしょうか?

 

オムツやトイレの便などの排泄物を適切に処理していかないと他の入居者を被爆させてしまうことになってしまいます。

 

このようなリスクを減らすためにも適切な知識のある看護師の存在が重要になってくるわけです。

看護師がいる施設ってどんな施設?

抗がん剤の怖さがわかってもらえたでしょうか?

ではこれから老人ホームや介護施設への入居を希望する方が、看護師がいる施設を探すときの選び方についてお伝えしたいと思います。

看護師の配置は施設ごとに違う

施設によって看護師の配置は大きく違います。

例えば老健や特養などはほぼ一日中24時間看護師が行ってくれることが多く、安心して入居できるのはメリットですが、このような施設は介護保険で入居できる公的な施設なので、人気も高く、簡単に入れるとは限られません。

 

また老健は医療費もすべて施設側が入居費用と一緒に請求する「まるめ」という方式なので、医療費が極端に高くなる抗がん剤治療は基本的に受け入れてもらうことができません。

 

病院の相談員(ソーシャルワーカー)や担当のケアマネージャーに相談してもらうのもおすすめですが、なかなかこのような医療の現状を知っている専門職が少ない現状もあるので、抗がん剤のような専門的な治療を行っている方は特に慎重に施設を探さなければいけません。

 

間違って入居しても入居費はもどらない

以前施設から病院へ入院した方のご家族がクレーム交じりで病院へある相談をきたことがありました。

「ここで始めた治療が施設じゃできないって言われた。まだ入居して1年もたっていないのに追い出された。」

この方も入院中にがんということがわかり、上記のような内服治療が必要な方でしたが、抗がん剤管理が必要なことを施設に伝えたところ

「看護師が毎日いるわけじゃないので、抗がん剤は扱えない」

という返答が返ってきたのです。

その方は泣く泣く別の施設を探し、新たに入居という形になりました。

もちろん高額な入居費はかえって来ませんでした。

 

 

このように抗がん剤治療ができる施設は限られてきます。

もしあなたもこれから施設を探す場合には、しっかりその施設や老人ホームの看護職員の配置の有無や管理体制を十分に確認してから入居しないとトラブルに合うリスクも高くなってしまうのです。

 

事前に施設に確認することが重要

サービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホームのような施設でも、看護者が24時間付いてくれている施設も存在します。

一方で同じ種類の施設でも看護師が昼間だけしかいなかったり、または看護師そのものが不在だったりする場合もあるので、施設を選ぶ際には直接施設に問い合わせることが重要です。

 

実は私たちのような医療関係者でも、どのような施設に看護師が24時間いるかという詳細な情報を正確にわかっている人はいません。

 

先程も書いたように施設ごとに看護師の配置が全く異なるため、一つ一つの施設に直接

「抗がん剤の対応が可能か」

ということを問い合わせないと、正直なところわからないのが現状です。

ですので、あなたが今後ご家族を老人ホームや施設へ入居させたいと思った場合には、あなた自身がそれぞれの施設に問い合わせて、

  • 抗がん剤かできるのか
  • 看護師が常駐しているのか
  • 排泄物の管理は十分か

といったところを確認して進めていくのがいいでしょう。

施設へ問い合わせるのが負担に感じたら

とは言っても、あなた自身の仕事があったり、家庭があったりしてなかなかそのような施設探しのために時間が割けないという方も多いかと多いですよね・

そんな方には、気になる施設を探してもらえて、さらに看護師がいるかどうかまで確認してもらえるサービスを利用すると時間もかからず施設探しを効率的に進めることができます。

例えばライフル介護というサイトを利用すると、

  • 抗がん剤治療ができる
  • 看護師が24時間いる
  • 自宅の近く
  • 費用が安い

などといった詳細な希望を伝えるだけで、相談もできてなおかつあなたにピッタリの施設を提案してもらうことも可能です。

このように手軽に手術が探せるようなツールを使うことで、効率的に施設探しをすすめていきましょう。

自分一人で悩まない

抗がん剤のような専門的な治療をしている場合や、他にも自宅でできないような処置をしている場合、家族は今後どうすればいいのかわからなくなってしまいますよね。

そんな時には病院の相談窓口やケアマネジャーなど、身近なところに相談をしてみましょう。

適切なアドバイスや今後のことなどの相談に乗ってもらうことができます。

 

もし身近にそのような人がいなかったり、相談をする勇気がない場合には、インターネット上でも介護にまつわる相談を無料でできるところもあります。

一人で悩まずに、困ったら早めに相談してはいかがでしょうか?

この記事を書いている人
管理人 さやみん
管理人 さやみん
現訪問看護師 ケアマネジャー 元退院調整看護師
総合病院勤務の時に1000人以上の患者様、ご家族様からの介護・病気・終活などの相談に対応。 「その人らしい生き方」「介護で苦しまない」をモットーにアドバイスしています。 治療も介護も正解はない! 「これでよかった」と思える人を増やすべくネット上で活動しています。
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