病院からの電話が家族に行く理由とは?しつこい・ウザいほど注意すべき看護師からのアドバイス

さやみん

こんにちは、現役退院調整看護師のさやみんです。

退院調整看護師って何?と思った方はこちらを見て下さいね。

お金、介護、退院場所など…退院についての不安は病院の相談窓口へ~退院支援の専門家とは~

そして今回のテーマは「病院からの電話連絡について」です。

ここを見に来てくれたあなたは「さっき病院から電話があったけど、なんでだろう?」と不安に感じていたり、「どうしてくだらない理由で何回も電話をかけてくるのか?」といらだっていたり、「看護師から電話来たけど、病院へ行かなくちゃいけないの?」とよくわからなかったりしていませんか?

そう、病院は実にさまざまな理由で患者さんやご家族に連絡をすることが多いのです。

そのため患者さん・ご家族も、忙しい日中に電話をかけられて不快に感じてしまったり、何の目的で連絡がきたのか分からず困ってしまうことも少なくありません。

今回はそんな方に向けて、

  • 病院がご家族に連絡をする理由
  • TPOをわきまえない連絡への対処法
  • 緊急を要する場合の判断と対応
  • 迷惑な電話連絡をなくす方法

 

などをお伝えして行きたいと思います。

病院が家族へ連絡する主な理由

 

病院側が家族に連絡する目的は様々です。

そして連絡をする職種としては、看護師が最も多いですが、他にも事務員医師なども連絡をすることがあります。ですので、ただ連絡が来ても「誰が何のために連絡をしているのか」がわからず、困ってしまう家族が多いんでしょうね・・・

 

ではその電話連絡の理由についてお伝えします。

 

入院中に必要なものが足りなくなった

これは入院中に最も多い連絡です。

  • 着替えを汚してしまって、替えがない
  • おむつがなくなってしまった(おむつを自分で用意する病院の場合)
  • 本人が保険証や大切なネックレスなどを探している・・・

などなど。

どうしてもおむつなどの消耗品は、看護師としてもないと困ってしまうため、すぐに電話をかけるようにしています。できるだけ、ストックを多めにしておく双方が安心できるのではないでしょうか?

以前には大人1人が入れるような段ボール箱3箱ほどのおむつを宅配便で送ってきた家族がいましたが、それも置き場所に困ってしまいます・・・

 

医師から病状などについての話がある場合

この連絡者は医師が直接連絡をすることもあれば、看護師が代理で日程調整をすることもあります。

 

家族としても、病状や今後の方向性などを知る機会ですので、重要なタイミングといえるでしょう。

ちなみに病院内では「I.C(あいしー)」「むんてら」「面談」などの用語で呼ばれています。

電話で病状などを説明することはできませんので、電話口で「状態はどうなんですか?」と詳しく聞くことはやめましょう。

 

患者さんが落ち着かず、家族に付き添って欲しい場合

これは看護師がまれに相談することがあるケースなのですが、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

入院中の呼び出しがある場合ってどんな時?家族が入院したときにはいつでも駆けつけられるようにしておこう

 

相談員から家庭や退院後の生活について相談したい場合

相談員が直接ご家族に、退院先や介護の状況、施設の情報などを知るために連絡をさせて頂くこともあります。

例えばご本人が認知症があって、自宅での生活のことがわかっていないような場合には、家族から

  • 介護保険の申請の有無
  • 介護度
  • サービスの利用状況
  • 担当ケアマネジャー
  • 入居している施設の情報

などの情報を聞かせてもらうことになります。

そうしてスムーズな退院へつなげられるようにしているのです。

 

迷惑だと感じる理由


上記で電話連絡をする目的をお伝えしましたが、どれも必要な内容で、医師との面談など重要な内容の連絡もあることはお分かりいただけたでしょうか?

しかし、ご家族にとってその電話がストレスになってしまうことが多いのが現実。

 

それは一体どうしてでしょうか?

 

仕事中や夜間など、時間に関係なく電話をかけてくる

病院は24時間体制で動いているため、昼夜問わず家族に電話をします。

たとえば、夜間の付き添いや状態が変わってしまった際には、夜中に電話が行くことになります。

 

 

そうするとご家族からしたら

「なんでこんな時間に電話をかけられるのか?」

「常識がなさすぎる」

と怒ってしまいますよね。

もちろん常識的ではありませんが、それだけ急を要しているというのも事実。

しっかり看護師から状態などを聞いてすぐに対応できるようにしていただけたらと思います。

折り返した時すぐに目的の相手につながらない

病院の電話の体制というのは、入院している病棟に直接電話がかけられるようなシステムにはなっていません。

一般の方が病院へ電話をかけると、基本的に代表電話を管理する部署へつながり、そこから担当部署へ電話が回るという仕組みになっています。

よくあるコールセンターと同じような仕組みですよね?

 

ですので、電話をかけた方はその間ひたすら待つという無駄な時間が出来てしまいます。

すぐに担当部署へつながればいいのですが、まれにご家族の方が折り返しをしてくれたのに、誰が家族へ最初に電話をかけたのか分からず、病院内で折り返しの電話がたらいまわしになるようなケースも起こります。

 

そうなると家族も
「電話をもらったからおりかえしたのに、誰から電話をもらったのかもわからず、長時間待たされた」
という結果になってしまうのです。

 

こう書いてみると、病院って権力を振りかざしているような気がしますよね・・・

なんかすいません・・・

 

迷惑な電話の対策は事前に連絡可能な時間帯を伝えておくこと

 

ではそのような迷惑な電話を作らないために、ご家族側が出来ることを紹介していきたいと思います。

入院した時など、家族状況などを病院側から聞かれることってありますよね?

緊急連絡先などを聞いているときなどです。

 

その際に一言

「仕事があるので、〇時以降にしかつながりません。」

「夜は基本的にかけてほしくないです。」

という言い方で希望を伝えることが大切です。

 

看護師は24時間連絡可能な連絡先を重要視しています。

いつかけても出てもらいる安心があるので。

そのため家族のプロフィール情報のところには

 

緊急連絡先:あなたの名前

続柄:長男

備考:24時間可能・同居中

という記載がされることになるのです。

 

そうすると誰でも看護師がみれば、

「長男さんへかければ大丈夫だな」

という認識になってしまうのです。

 

ここで先ほど伝えた、勤務状況などを詳しく説明しておくと

備考:18時まで仕事あり、夜間の対応難しい

 

などの情報が記載されることになり。この時間はさけて連絡をもらえるようになるのです。

たった一言ですが、その情報を看護師が知っているかどうかで、入院中の家族の生活ストレスが変わってくるのです。

 

しかしその分、夜間に対応できる他のご家族の連絡先を教える必要があります。

時間ごとに連絡先を変えるなど、家族の負担を少なくするような工夫をしてみてもいいかもしれませんが、必ず全員が同じ認識で入れるよう、情報を常に共有するようにしておいてください。

 

中には
「〇〇(他の家族)には話が言ってるみたいだけど、俺は何も聞いてない」
という方が、医師との面談に来ることもありますが、それでは話が一貫して理解できませんよね?

必ず家族内で重要なことは、みんながわかるようにしていきましょう。

 

仕事との折り合いのつけ方

家族には家庭もあるし、仕事優先という方がほとんどだと思います。

私も仕事で家族と対応していると、

「私も家庭があるし、子供もいる。病院優先でなんでもできるわけじゃない。」

というお話をされることが良くあります。

 

確かにその通りだと思います。

いくら血のつながった家族と言っても、将来ずっと面倒を見なければいけないとか、入院中はすべての責任を負うなどの強制的な考えを押し付けることはしてはいけないことだと思っています。

 

その人が何を大切に生きているのかを考え、尊重して医療者は関わっていかなければいけません。

でも本人は病院に取り残されているという現状もある・・・

このようなジレンマを家族が抱えてしまっている時の対応はどうすればいいのでしょうか?

 

基本は病院優先で動くべき

私は病院側の人間なので、病院優先という言葉を使ってしまうのも仕方ないような気はしますが、もし自分の親が入院中で頻回の電話や呼び出しなどが自分に来たときの対応は、間違いなく

「素直に言われたとおりに行動する」

といえるでしょう。

その理由は、信頼できる病院をなくしたくないから。

 

あなたは家族が入院している病院は信頼がおける場所ではないですか?

なにより本人が入院していて、みんなが安心できる環境ではないでしょうか?

 

その環境を家族の都合で壊すことになってしまうのは避けたいと思いませんか?

なので、私だったら出来るだけ素直に対応すると思います。

 

しかし、私も仕事上抜けられないような勤務体制でもあるため、

「すぐに来てくれ」

という状態は難しいかもしれません。

 

でも「どうしよう・・・」と悩んでしまった時にこそやるべきことがあるのです。

 

相談することを忘れずに

病院側も人間です。

仕事の内容や、どうしても変更できない勤務体制などを詳しく説明すれば病院のスタッフも理解してもらえるかもしれません。
すぐに「そんなことできるワケないだろう!!!」とキレるよりも、

「すいません、どうしても今日は〇〇の出張が入っていて抜けられないんです。明日ではだめですか?」

などの相談と提案をしてみると、意外にすんなり受け入れらることもありますよ。

 

しかし何が何でも来てもらわなければいけない状態はあります。

  • 一刻を争う急変時
  • 手術時と前後の説明

この辺は必ず家族の付き添いや立ち合いが必要になります。仕事とか悠長なことを言ってる場合ではありません。

 

その場合には相談する相手は「仕事側」ということになります。

「危篤になった」「大きな手術で、付き添いが必要」

などと話して仕事の都合がつけられるように配慮してもらいましょう。

 

まとめ

病院に入院していると、その家族は

「病院のいうことだから、そうしなくちゃいけない」

と感じて、できるだけ理想の家族になろうと頑張ってしまう方がたくさんいます。

 

看護師から連絡してみても、

「それじゃあすぐに行きます」「仕事終わってから行きます」

などと頑張ってくださるご家族が多く、ありがたいと思う反面、

 

「頑張りすぎてないかな?」

 

と感じることもあるのです。

 

本人を支える家族の負担が大きすぎては、入院中もそのあとも決してうまくはいかないはずです。

家族がストレスを抱えてしまうと、本人や他の家族にまで悪影響が及びます。

なので、些細な電話連絡などや仕事との折り合いでで悩んでしまった時にはスタッフに相談してみましょう。

少しでも入院中のストレスがなくなればと思って書いてみました。

 

読んでいただきありがとうございました。

この記事を書いている人
管理人 さやみん
管理人 さやみん
現訪問看護師 ケアマネジャー 元退院調整看護師
総合病院勤務の時に1000人以上の患者様、ご家族様からの介護・病気・終活などの相談に対応。 「その人らしい生き方」「介護で苦しまない」をモットーにアドバイスしています。 治療も介護も正解はない! 「これでよかった」と思える人を増やすべくネット上で活動しています。
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