看護師が教える抗がん剤治療中でも入所できる施設の選び方
今の時代では2人に1人が癌になる時代であり、治療をしながら生活を送っている方もたくさんいます
今回はそんな抗がん剤治療をしながら施設を探すことができるのか、入所できる施設はどんなところがあるのか説明していきます。
抗がん剤治療をしながらでも施設入所はできる?
抗がん剤治療には一般的な点滴で行うものから、内服できるものまでたくさんの種類があります。
点滴で行う場合には、専門の医療機関に受診し入院や外来通院などで抗ガン剤治療を行う必要がありますが、内服管理で状態が落ち着いている場合には退院して自宅などで抗ガン剤治療を継続できることもあるのです。
では、自宅ではなく施設に入所しながら、抗がん剤治療をすることはできるのでしょうか?
その答えは施設によると言うものです。
たとえば医療費がまるめ(入所費用の中にすべて入っている)の老健などの場合には施設の経済的負担が大きすぎることから、断れれてしまうことが予想できます。
医療費が自己負担になる特養や有料の老人ホームなどでは施設の職員の体制や重症度を総合的に判断し、施設へ入所できることもあります。
抗がん剤治療中には副作用の観察や状態の変化に注意が必要
抗がん剤をしていても、施設に入れればそれでいいと思ってしまうのは間違いです。
私は看護師をしていますが、抗がん剤治療中には人によって様々な副作用が出現するのを見てきたし、その対応が非常に重要だということを知っています。
その副作用は人それぞれで、実際に使ってみないとどのような副作用がどんな人に出やすいのかというのはわからないのです。
一般的な脱毛や、嘔吐、食欲不振などは目に見えて分かりますが、骨髄抑制などは血液データを見ないと判断が出来ず、看護師などがその兆候を注意して観察しなければいけません。
つまり施設に入所中の場合には、
どのような副作用が出てもすぐに対応できるような医療体制が整っている
という条件がとても重要なのです。
そのためにまず必要なのは看護師の配置です。
最低でも、昼間は必ず看護師が常駐しているような施設を選ぶようにしましょう。
しかし、そこにいる看護師がしっかり副作用の観察まで注意して見てもらえるかどうかはまた別の話になります。
実際に入所したい施設が決まったら、見学をし、看護師の様子やどのような看護サービスを提供しているかもしっかり見極めて選ぶようにしましょう。
もし副作用が出てそれを見逃されてしまった場合、感染を引き起こすことによって命に関わる病気に繋がったり、腫瘍崩壊と言って抗がん剤治療によってさらに状態が悪くなり、時には命を落としてしまうことにも繋がりかねません。治療中はどんなに状態が安定していると言っても、十分な観察を続けることが必要になってくるのです。
抗がん剤治療をしながらでも入所できる施設の種類とは?
施設と一口に言っても介護保険を利用して入所する介護保険施設や一般的な賃貸住宅のように毎月の家賃を払いながら生活するような優良老人ホームなど、本当に様々な種類があります。
どのような施設が抗がん剤治療をしながらでも入ることができるのでしょうか?
治療をしながらでも入所できる主な施設
- 特別養護老人ホーム
- 介護付き有料老人ホーム
- 住宅型有料老人ホーム
- サービス付き高齢者住宅 など・・・
1と2は自分の施設内で介護サービスや医療サービスを提供している施設なので、必ず看護職員の配置を確認するようにしましょう。
3と4は入居するための施設であり、介護や医療が必要な場合には外部のサービスを利用することになります。
抗がん剤治療をしている場合には「訪問看護」を必ず利用し、定期的に看護師が体調を観察できるような体制を整えましょう。
まとめ
抗がん剤治療は何度繰り返していても、どのようなタイミングで副作用が出るかわからず、その人によって副作用の出方や種類も全く違います。そこが抗ガン剤治療の怖いところであり、私たち看護師は入院中の場合には24時間注意して副作用を観察しています。
しかし施設は入院とは病院と異なり、看護師の配置も極端に少なく、限られた看護師が副作用の観察をすることになるため、副作用を見逃されてしまったり、状態の変化が発見されにくいというデメリットがあります
そのためできるだけ医療サービスが充実しており、すぐに状態が変化した場合の対応を取れるような施設を選ぶことが重要になります。
施設に入りたいけど、どこがいいのか分からない場合には、抗癌剤治療を実施しているかかりつけの病院などに相談し、病院の相談窓口などで対応できる施設などを聞いてみるのもいいでしょう。
絶対に自分たちだけで適当に施設を選んだり、施設側が安易に大丈夫ですなどと言うような施設は選ばないようにしましょう。