老人ホーム入所中の方が脳梗塞になったら退所になる?リハビリが出来る施設とは
住宅型有料老人ホームへ入所していたAさん。
デイサービスを利用したり、お友達とお話したり、施設での生活を楽しんでいました。
ある日右手の違和感に気づき、書いたり握ったりするのに違和感を覚えるようになりました。
しかし、大丈夫だろうと思い数日過ごしていると、急に足の力が抜けて、しっかり歩くことが出来なくなってしまったのです。
そして病院へ行ってみると脳梗塞を発症していました。
医師から伝えられたのは、2週間ほどの点滴による治療が必要ということでした。
施設にはそのことを伝え、そのまま病院へ入院ということになりました。
その後2週間ほど点滴治療をし、また医師から説明がありました。
「Aさんは脳梗塞の治療自体は終わるのですが、まだしっかり歩けていないので、リハビリをして歩けるようになってからの方がいいでしょう。回復期リハビリテーション病院というものがあるので、そこへ行ってみるのはどうですか?」
との提案があったのです。
「回復期リハビリテーション病院?それってどのくらいいるんですか?」
とAさんの家族がが医師に聞くと
「早くて2、3か月とか、長いと半年くらいいる方もいますよ。家に帰るために落ち着いてリハビリが出来る病院です。」
と説明が。
Aさんも家族もびっくりしました。
だってAさんが入居していた有料老人ホームは入居時に
3か月間以上の不在は退所扱い
と説明されていたためです。
このようなケースでは本当に退所をしなければいけないのでしょうか?
脳梗塞は高齢者に多い疾患の一つ
脳梗塞は高齢者にとても多い疾患の1つです。
実際に脳梗塞で緊急入院となる方は多く、そしてAさんのように入院して点滴治療をし、その後は回復期リハビリテーション病棟(病院)などでリハビリをしてから自宅などに帰るという流れが一般的です。
回復期リハビリテーション病棟(病院)って?
脳梗塞などの疾患により、体が思うように動かなくなってしまった場合などに、自宅等で生活が出来るようにリハビリなどを積極的に行っていく施設です。
急性期の病院では点滴治療と一緒にリハビリも行っていますが、2週間程度の入院期間では今までのように自宅で生活が出来るまでの体力などの回復は見込めません。長期的にじっくりリハビリを行うことで、自宅で生活で力をつけていこうというのがこの回復期リハビリテーション病棟(病院)ということになります。
病棟(病院)との名前の通り、区分は「病院」です。そのため入院していてそのまま回復期リハビリテーション病棟へ移動となる場合には「転院」ということになります。
ちなみに私ら業界人はこのことを「リハ転(りはてん:回復期リハビリテーション病棟への転院)」と呼んでいるんですよ。回復期リハビリテーション病棟のことは「回リハ(かいりは)」とも略語でよんでいます。
施設は退所をしないといけないのか
Aさんのケースではもともと3か月以上の不在は退所扱いという規定を知らされていたこともあり、もし回復期リハビリテーション病棟へ転院となってしまい、3月以内に施設にもどることも出来なかった場合には退所になってしまうこともあります。
そうなると入居時に支払ったお金が無駄になったりや、せっかく楽しんできた今までの生活がなくなってしまうことになります。
そうなると今後の生活場所も新たに考えなければならず、不安になってしまいますよね。
でもこの回復期リハビリテーション病棟は、必ずしもいかなくてはいけない施設ではないのです。
(もちろん医師に勧められた通り、転院した方がいいのですが)
施設との兼ね合いは医師や相談員に相談が重要
実は施設入所中に、病気などで長期不在となり、退所トラブルになってしまう方って少なくありません。
私達相談員は、日々こんな施設とのトラブルの相談に乗っています。
Aさんのケースでは、今のADL(どれだけ自分で動けて生活が出来るのかというレベル)がわかりませんが、その状態によっては施設にいながらリハビリを継続していくという方法も出来るかもしれません。
もう一度介護サービスをケアマネージャーと見直すことで、集中的にリハビリに取り組みながら施設で生活するということもできます。
医師も回復期リハビリテーション病棟をすすめはしますが、あくまでも提案であり、このような施設の現状がある場合には、施設側の事情も考慮してくれることもあるのです。
ですので、まずは医師や相談員へ不安なことを相談してみるようにしましょう。
リハビリが出来る施設と出来ない施設
リハビリといっても施設内で出来るところと出来ないところがあります。
もし施設に入所しているのであれば、自分の施設にどんなリハビリスタッフがいるのか、ぜひ確認してみましょう。
リハビリをするためには、必ずリハビリ専門のスタッフがいることが条件です。
- 理学療法士
- 作業療法士
- 言語聴覚士
など、リハビリの職種もさまざまで、どんなリハビリが必要なのかによって、担当する職種も変わってくるのです。
例えんば、立つ、歩くといった動作であれば理学療法士や作業療法士でのリハビリが必要ですが、食事が上手く呑み込めないといった場合には言語聴覚士によるリハビリが必要となります。
ではどんな施設がリハビリが出来るのでしょうか?
- 介護老人保健施設(老健)
- 介護老人福祉施設(特養)
- 介護付き有料老人ホーム
などでは施設内にリハビリスタッフがいることが多く、比較的リハビリが行いやすい施設といえます。
反対に
- 住宅型有料老人ホーム
- サービス付き高齢者向け住宅
- グループホーム
などは、基本的に住居の提供がメインであり、サービスを利用する場合には外部のものを利用するという流れになります。しかし全くリハビリが出来ないというわけではなく、外部のリハビリサービスと提携して利用することは可能です。
しかし上記で書いたようにリハビリにもさまざまな種類があり、その施設に必要なリハビリスタッフがいるとは限りません。
特に理学療法士、作業療法士はいるけれど、言語聴覚士はいない、という施設が多いため、もし嚥下訓練(飲み込むためのリハビリ)などが必要な場合には、言語聴覚士がいるかどうかというのも確認すべきポイントです。
Aさんは施設に戻れたのか?
Aさんはその後、医師にも施設の状況を相談し、病院や施設と相談をしながら、今まで通り施設でリハビリをしながらすごすことにしました。
リハビリのサービスは施設外から、週に3回作業療法士によるリハビリが提供されています。
他にも歩くのが大変になってしまったので、介護サービスを利用し、車いすをレンタルすることで、生活できるようになりました。
まとめ
脳梗塞などでは長期的に入院になる場合が多く、施設トラブルが多い
トラブルや不安を感じたら病院のスタッフに相談してみる
リハビリが出来る施設はある
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