よくある質問と相談事例

離れて暮らす親の介護が心配になったらするべきことと絶対にしてはいけないこと

さやみん

あなたは遠くに暮らす両親が父親や母親のことが心配になったり、気がかりに思うことはありませんか?

今どんなに元気なお父さんお母さんでも、いつか人間は歳をとり老いていく時はやってきます。自分の親もいつかは介護が必要な時がやってきます。

そう考えると親のことが心配になって、離れて暮らしている子どもは、親の状態がわからず不安に感じる方も多いのではないでしょうか?

今回はそんな親を心配している子供の立場に立って、親をサポートをどのようにすればいいのか、どんな方法があるのか、また「みんながやりがちだけどやってはいけないこと」についてお伝えしたいと思います。

看護師が考える高齢者のサポートのあり方

私は現在看護師として働いており、たくさんの高齢者の方と関わらせていただいております。そして退院のサポートをメインでする仕事に就いており、ご家族からの介護の相談についても対応させてもらっています。

そのようなご家族の思いを聞いていると、上記のように両親を心配しているお子様たちの悩みや介護への不安を抱えている方はとても多くいらっしゃいます。

でも気になるのは、「間違った親の支援」を考えてしまう方も多いということ。

最初に重要なことを書きますが、私たち医療者は何よりも「患者さんが今できること」を生かしてどのように生活をしていくかを考えています。

そして一番尊重するのは「ご本人の気持ち・意思」です。

ご家族の心配が優先されてしまい、結果的のご本人を過保護にサポートすることで、高齢者は自分で出来ることがあっという間に出来なくなってしまい、さらに介護が必要な状態や認知症にまでなってしまうことだってあるのです。

なので親のサポートを考える上で重要なポイントを絶対に守るようにしてください。

親のサポートの考え方
  • 本人の出来ることを生かす
  • 本人の意思を尊重する
  • 親の生活状況をしっかり把握する

まずはココを絶対に抑え、あなたがどのような行動や対応ができてサポートにつなげられるのかを考えてみて下さい。

では最初に多くの方がやりがちなNGな行動をお伝えします。

もしこのような考え方をしてしまっている場合には注意が必要です。

ダメな例:無理やり自分の近くに連れてくる

親が心配になったからといって、ちょっと前の東京タワーの映画のように、都会にいる自分の近くに住まわせたたり、同居させるという方法は注意が必要です。

親自身がもう一人での生活に不安を感じており、子供からの同居の提案医対して喜んでくれているならもちろんそれで構わないのです。

しかし問題となるのは、ご両親自身が

「まだまだ自分の家で元気に暮らせるから、そんな心配はいらないよ」

という気持ちのケース。

 

ご本人が「自宅に居たい」と意思があるにもかかわらず、無理やり連れていくことで逆に関係が悪くなってしまうなどのデメリットもあるでしょう。

実際に私が勤務している某田舎の病院では、このようにひとり暮らしの親を子供らが住んでいる都会に連れて行きたいという方が少なくありません。

でも現在、元気で暮らしているご本人さんにとってみれば「今」という自分の生活や地域のコミュニティがあるわけで、それを失ってまっで子供のところへ引っ越すメリットを何も感じていないわけです。

 

どうしても自分たちと一緒に暮らさせたいと思うなら、相当の覚悟で説得をしていくしかないと思います。

ダメな例:サポートやサービスを使いすぎてしまう

これも多くの方が「親のために」とやりがちなケース。

ご飯が食べれているか心配と感じているお子さんが、配食サービスや宅食サービスなどを取り入れたり、家で家事をするのが大変だろうと思ったお子様がヘルパーなどを頼んだりするパターン。

一見、親の負担を減らしてくれて、いいことなんじゃないかと思いますよね?

 

でもちゃんとご本人の生活状況と意思を確認してからでないと、失敗してしまうリスクが高い行動でもあるのです。

本人がそのようなサービスを使うことで、負担が減ったり、助かると実感できるというのであればもちろんいいことなのですが、ご本人様が希望しないのにもかかわらず、そのようなサービスを使うことで、このようなデメリットが生じてきます。

不要なサービスを使うことのデメリット
  • 自分の生きがいや役割を奪われたと感じる
  • 出来ることができなくなり、結果的に体力や認知力の低下につながる

 

 

例えば自分のお母様に食事や家事のお手伝いなどのサービスを使ってあげようと思っても、本当にお母様は喜ぶかどうかを考えてみましょう。

お母様は「今まであなた達を育てながら家事を頑張ってきた自分」の経歴を誇りに思っているかもしれません。

 

実際に今までやってきた子育てや家事などにプライドを持ち、高齢になってもそれを続けている自分を誇らしく思っている方はとても多くいます。

その方にとって「家事」は生きがいそのものであり、大切や役割でもあるのです。

そこを無理矢理サービスを使ってしまうと「自分のいる意味は何?」と感じてしまう方もいるんですよね・・・

私も退院する方に向けて、客観的に見て自宅で料理をしたり洗濯などの負担は大きいのではと感じて、ヘルパーや配食サービスなどを提案してみることもあるのですが、ご本人の気持ちを聞くと

「今できていることを取らないで欲しい」

っていう方が結構多いのです。

 

子供としては生活をしていることへ不安があるかもしれませんが、それがご本人の生きがいや楽しみにつながっているのだとしたら無理にサービスを入れるのではなく、そっと見守っていけるような体制を考えてみるようにしましょう。

親を心配するこどもがすべきこととは

このまで読んでみると、「じゃあ子供は何をすればいいの?」と思ってしまいますよね。

次に親が心配だと感じている子供が出来ることについて考えてみたいと思います。

何より子供自身が、顔と声を顔を見せて声を聞かせてあげること

子供が心配なのは分かりますが、どうやったらご本人様が嬉しかったり楽しく感じるかを考えるとやはりお子様の成長や生活が見れることではないでしょうか?

双方が繋がる時間を持つことによって、お互いが安心できるんだと思います。

当たり前すぎるかもしれませんが、なかなかこれが出来ていないご家庭が多いのが現状ですよね。

親を心配に思うなら、できるだけ顔を見せたり声を聞かせてあげるなど、積極的に関わるようにしていきましょう。

親の生活状況を見守る・把握する

 

不必要なサービスは要らないと書きましたが、「サービスが必要となる時期を見逃さないこと」は親をサポートするうえでとても重要なことです。

人間は必ず老いる時がやってきます。

いつかは何らかのサポートが必要になる時がやってくるのです。

そこを見逃さず「早期に発見し、早期に対応する」これが子供たちの重要な役割だと私は感じています。

 

そしてそこが出来ていない家庭が非常に多いのも現状です。

もう歩くのもやっとだったり、認知症が進行してお薬もまともに服薬できていない生活状況があるにも関わらず、ご家族は

「本人は自分で出来ているって言ってるので大丈夫です。そんなもの(介護保険のサービス)はいりません。」

とおっしゃる方もいます。

ご本人たちは子供に迷惑をかけたくないと思って、「大丈夫」と言うのは当たり前のこと。

そこをうのみにせず、ちゃんと現実の生活に目を向けていただけたらと思います。

 

ですので子供が親のためにするべきことをまとめるとこうなります。

 

家族がするべきこと
  • 親の生活状況を把握する
  • サポートが必要になった時にすぐに対応できるような体制を作っておく
  • 必要時はサービス導入のために行動をしてあげる

 

見守りサービスの活用

ご両親が元気に生活ができていて、何もお手伝いはいらないという場合には、無理矢理サービスを取り入れるのは好ましくありません。

でもそれじゃあ親の生活状況をどうやって把握するの?

頻回に訪問も出来ないし、電話だけじゃどんな生活をしているのかわからない・・・

という方に使ってもらいたいのが「見守りサービス」です。

 

遠くにいてもカメラを自宅に置いておくことで、ご両親の様子を画像で確認することができたり、認知症の方向けにはGPS機能が付いたものもあります。

またはいざとなれば警備会社が駆けつけてくれるサービスなど「見守り」と一言で言ってもたくさんの種類があるので、本人に合ったサービスを見つけることができますよ。

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個人的にはカメラを置かずに、電気の使用状況でご家族を見守ることができる新サービス「遠くても安心プラン」は東京電力の系列会社が提供しているサービスで、お互いがストレスなく暮らすことができるので、従来のカメラを使った見守りサービスよりもいいのではないかと思っています。

介護保険の申請の見極め

いくらご両親が元気に過ごせていると言っても、いつかは杖などを使ったり、お風呂に入るのが大変になるなどの時期はやってきます。

上記で書いたような子供からのかかわりや積極的な声掛けなどをしていく中で、ご両親の体の変化に早く気付き、もし生活が大変になった時には、早期にこの介護保険を申請していくことも重要です。

 

あなたは介護保険と聞くと、寝たきりの方が使うサービスと思っていませんか?

決してそんなことはなく、普通にひとりで歩ける方でも、杖を借りられたり、自宅に手すりが設置できたりと、自宅での転倒予防のために使えるさまざまなサービスがあります。

 

要支援から要介護までその方の状態に合わせたサービスを提供してもらえるため、まずは子供が親の状況を見て

「ちょっと生活が大変になって来たかな?」

「お風呂に入るのが大変そうだな」

「家に手すりを付けた方が転ばなくて済むんじゃないかな?」

こんなことを感じ始めたら、介護保険を利用を検討していきましょう。

 

もし既に、ご両親が歩くのに杖を使っていたり、お風呂やトイレが大変だ、またはまともなご飯を食べられていないというような方は、今すぐに介護保険を申請してデイサービスやヘルパーなどを活用しましょう。

まとめ

親の生活や将来的な介護のことが心配と思うのは誰でも当たり前のことです。

そしてそうやって心配しているご家族がいるということは、ご本人にとって何よりの安心につながります。

 

今の日本では、高齢者の一人暮らしや、夫婦のみの世帯が急増していますが、このような親子のつながりは決して薄くなってはいないと私は感じています。

逆に遠くにいればいるほど、親のことが心配でいろいろとしてあげたいという家族の思いを日々実感させられています。

そんなお子様にこそ、適切な「親の支え方」を知ってもらって、親も子もお互いが安心して、楽しく暮らせるような生活を築いていって欲しいと思います。

長文でしたが読んでいただきありがとうございました。

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この記事を書いている人
管理人 さやみん
管理人 さやみん
現訪問看護師 ケアマネジャー 元退院調整看護師
総合病院勤務の時に1000人以上の患者様、ご家族様からの介護・病気・終活などの相談に対応。 「その人らしい生き方」「介護で苦しまない」をモットーにアドバイスしています。 治療も介護も正解はない! 「これでよかった」と思える人を増やすべくネット上で活動しています。
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